Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
高等ゾウムシ類と陸上植物の中で最も繁栄した被子植物との関係について調べるため,ゾウムシ類の系統関係を形態情報をもとに推定した.分子データの利用も試みたが,今回選んだ遺伝子領域は高次の系統関係を調べるのに適していなかったため,分子データからの結果を得るに至らなかった. ゾウムシの系統を推定する上で重要と考えられる頭部の形態構造を中心に系統推定を行った結果,以下のような分岐の順序が推定された((Nemonychidae,ヒゲナガゾウムシ科)(Belidae(オトシブミ科(キクイムシ科(ミツギリゾウムシ科(イネゾウムシ科,オサゾウムシ科,ゾウムシ科))))))). これまでの解釈と大きく異なる点は,キクイムシの系統的位置で,もっとも高等なゾウムシと考えられていたが,そうではない可能性が強く示唆された. 今回得られた系統関係と,近年受け入れられている植物の系統関係を推定した結果,以下の点が明らかとなった. 1.ゾウムシ類と被子植物との関係は,ミツギリゾウムシ科以降で起ったと考えられ,キクイムシ科までの起源の古いゾウムシは,針葉樹を主に利用していたと推定される.これは化石記録からも支持される. 2.ミツギリゾウムシ科では,その大半が衰弱した被子植物の利用が中心だったが,イネゾウムシ科以降のゾウムシでは健全な植物でも利用できるようになった. 3.イネゾウムシ科,オサゾウムシ科は,被子植物の中でも主に単子葉植物を利用していることから,高等ゾウムシ類の被子植物の利用は,単子葉植物からはじまったと考えられる. 4.ゾウムシ科では,双子葉植物を主に利用するようになり,植物の適応放散とともに爆発的に分化した. 5.高等ゾウムシ類の中でも,比較的古いグループは,単子葉植物や双子葉植物の中でも古いとされる古草本類など,真性双子葉類が分化する以前の被子植物を利用しており,近年得られている被子植物の系統とゾウムシの系統は大筋で一致していると言える.
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