Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
本研究では,Cr(110)表面に膜厚を制御したCr203(0001)単結晶薄膜を作製し,その構造と物性を明らかにするとともに,薄膜中の水素の拡散係数を求め,Cr203(0001)表面と膜中での水素の動態を解明することを目的としている. 本年度は,1.走査トンネル分光装置の整備,2.赤外吸収分光によるフォノンスペクトル測定,3.走査トンネル分光による電子状態測定,4.Cr2O3(0001)への水素吸着,の4項目について研究を行った.1では,新たに走査トンネル分光装置を整備し,このためのCr(110)試料を作製した.2では,昨年度に見出した光学縦モードフォノンの詳細な温度依存性を測定し,磁気的相転移について考察した.3では,走査トンネル分光を用いて電子状態の測定を行った.膜厚が1nmまでは金属的,1nmを越えると絶縁体的になることを明らかにした.赤外吸収分光およびオージェ電子分光の結果をあわせて考察すると,膜厚1nmの時は化学組成的にCr2O3が形成されているにもかかわらず金属的な電子状態を示し,膜厚が1nm以上で絶縁体に転移すると考えられる.1nm以下では金属との近接効果により金属的振る舞いを示すものと考えられる.4.では熱脱離分光法を用いて,Cr2O3(0001)への水素吸着の実験を行った.90K以上の温度では,平坦な表面には水素は吸着しないことを明らかにした.しかしながら欠陥サイトでは解離吸着する可能性があることを見出した.
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