Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究ではフラーレンを3次元基板として利用し,表面に金属元素を配列させ薄膜化することで大きい比表面積を持った有機/無機コンポジット薄膜作製することを目的とする.フラーレン表面に直接炭素-遷移金属の結合を持たせることは困難と考えられるため,第一段階としてフラーレン,遷移金属の両者と結合を形成しうる硫黄を介在させることを試みた. 高速液体クロマトグラフィーにより純度99%以上に精製したC_<60>及びC_<70>と硫黄をそれぞれ溶解したトルエン溶液(フラーレン=1.67x10^<-4>mol/dm^3,硫黄=1.33x10^<-1>mol/dm^3)を作製し,数日間放置することにより希薄溶液からフラーレン/硫黄化合物の結晶が生成することを見出した.本化合物の組成はC_<60>S_<16>(C:78.91atm%,S=21.09atm%)及びC_<70>S_<16>(C:81.4atm%,S=18.6atm%)であり,その構造はC_<60>S_<16>はC-centered monoclinic(a=20.874(1)Å,b=21.139(1)Å,c=10.5690(6)Å,β=111.93(1)゜),C_<70>S_<16>はprimitive monoclinic,(a=1.5271nm, b=1.49971nm, c=2.18024nm and β=109.791゜)であることがわかった.上記構造から計算される密度は1.894g/cm^3(C_<60>S_<16>)及び1.91g/cm^3(C_<70>S_<16>)であり,これは実測密度1.86g/cm^3(C_<60>S_<16>)及び1.88g/cm^3(C_<70>S_<16>)と良く一致する.これら結晶の赤外線吸収スペクトル、ラマン散乱スペクトル及びNMR分析の結果からフラーレン類のピークが明確に観測され,結晶中においてフラーレン類の骨格の構造は保持されていることが判明した.以上の結果から,本化合物はフラーレンと熱力学的に最も安定な形態の硫黄(S_8リング)で構成された構造となっていることがわかった.第一原理計算の結果,C_<60>S_<16>結晶中のC_<60>と硫黄の間には電荷移動が生じているものと考えられ,これはC_<60>結晶の結果とは大きく異なることがわかった.
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