Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
単結晶基板上にセラミックス薄膜がエピタキシャル成長する場合,成膜条件によって優先的な配向性が劇的に変化する現象が見られる。申請者は"1nm以下というナノメートルオーダーの膜厚"によって優先的な配向性が決定される現象を見いだした。申請者はSi(001)基板上にニッケルフェライト(NiFe_2O_4)薄膜をエピタキシャル成長させる研究をしていた。エピタキシャル成長フェライト薄膜は(MgO-Al_2O_3)/CeO_2/YSZ構造の3重バッファー層の導入によって初めて実現したが,フェライトの配向性は(MgO-Al_2O_3)薄膜の膜厚によって劇的に変化した。(MgO-Al_2O_3)膜厚が0nmの場合,(111)配向となる,膜厚が0.5nmの場合(111)と(001)の混合配向となったが,(001)の面内配向性はcube-on-cubeであった。膜厚が1nm以上の場合には(001)配向のみとなるが,面内配向性は45°回転に変化していた。 本研究の目的は"ナノメートルオーダーの膜厚によって優先的な配向性が決定される現象"を詳細に検討することを通して,セラミックス薄膜の配向性決定メカニズムの一般化を導くことにある。すなわち,"異種結晶構造からなる積層セラミックス薄膜の配向性決定を支配している結晶化学の構築にある" 14年度には優先配向性の変化の制御を行った。フェライト薄膜をSi(001)基板上へのエピタキシャル成長させるためのバッファー層である(MgO-Al_2O_3)/CeO_2/YSZ3重バッファー層は申請者が見いだしたものであるが,(MgO-Al_2O_3)というのは岩塩構造を持つMgOにAl_2O_3が固溶したものである。ここで,Al_2O_3添加量を変化させることにより岩塩構造の格子定数を(固溶の範囲内で)変化させることができる。このことは,フェライトとバッファー層との格子のミスマッチを設計できること,すなわち,フェライト薄膜にかかる応力の制御が可能となることを意味している。さらに,種々の結晶構造のバッファー層の導入した際にフェライトの配向性がどのようになるかのデータを蓄積することにより,"異種結晶構造からなる積層セラミックス薄膜の配向性決定を支配している因子を明らかにした"。
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