Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究は超薄膜領域の磁性金属からなる種々の人工格子膜を作製し,それらの磁気特性の評価から,ナノ領域において磁気エネルギー増大に極めて効果のある高い表面磁気異方性を有する系を見出すことを目的として行った.試料作製には超高真空DC, RF多元スパッタ装置を用いた.まず,次世代の超高密度磁気記録媒体として期待されているCo/Pd人工格子膜での表面磁気異方性のエンハンスメント効果について調べ,Pd層の水素化ならびに希土類元素(Sm)の添加効果について検討を行った.その結果,水素化に関しては2倍以上にも達する表面磁気異方性の増大が確認され,また希土類添加においても40%近い増大が見出された.これらの結果は,Co/Pd人工格子膜の基本的な磁気特性を変化させることなく,表面磁気異方性を高める手段として上記手法が有効であることを示すものである.次に,磁性金属/酸化物系の組み合わせとして,M/0人工格子膜(M=Fe, Co, Ni, O=SiO_2,MgO)を作製し,その構造ならびに磁気特性の評価を行った.O=MgOの場合には,極低温領域(50K以下)において磁化曲線の非対称性が観測され,僅かではあるが界面酸化層の形成が示唆される結果となった.一方,O=SiO_2の場合にはこのような非対称性は見られず,良好な金属/酸化物の界面が形成されていることを確認した.この系においてはM=Feにおいて最大の表面磁気異方性が得られ,その方向は膜面垂直方向であることが分かった.さらにM=Fe, Co, Niの順に表面磁気異方性は減少しており,磁性金属の3d電子数との強い相関が見出された. 以上の成果は,表面磁気異方性の大きさ及び方向を制御する手法を与えるものとして,ナノ領域の磁気特性制御,更には将来の磁気記録媒体における材料設計に新たな指針を提供するものである.
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