Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
近年,ダイヤモンドライクカーボン(以下DLC)と呼ばれる硬さ,摺動特性などに優れた非晶質炭素膜が硬質薄膜として脚光を浴びている.さらに,圧縮応力を減少させること,摩擦係数を下げること,密着性を向上させることなどの目的で,そのDLC膜にTi,Nb,Ta,Wなどの金属を添加させる研究がスパッタリング法などで盛んに行なわれている.本研究では,PVD法の1つであるアークイオンプレーティング(AIP)法を用いて,Tiを添加させたDLC膜の作製した.AIP法は,ターゲットと呼ばれる固体原料のアーク放電を利用した薄膜合成法である.そこで,粉末冶金法によりTiを添加させた炭素ターゲットを作製し,それをターゲットとして用いてTi添加DLC膜を作製した.その際,ターゲット中のTi含有量を0〜30at%と変化させ,アーク放電の挙動,DLC膜の特性,微細構造の変化を調べた. ターゲットに炭素を用いた場合,アーク放電が発生しにくく,安定しなかった.それに対して,炭素カソードにTiを混入させると,カソード表面上に発生するアークスポットの動きが活発化し,アーク放電の安定も向上した.特に,Ti含有量を増加させると,その傾向は強くなった.本研究では,Tiを添加させたことにより形成したTiC,TiB_2相やグラファイトの(0002)面のエッジ部がアーク放電の活性点となり,アーク放電の安定化に寄与するということがわかった.さらに,作製したDLC膜をX線回折法やX線光電子分光法などを用いて解析した結果,ターゲット中のTi含有量よりDLC膜中の含有量のほうが多いことがわかった.また,DLC膜中のTiは主にTiCの微結晶となって存在することが明らかになった.つまり,Ti添加炭素ターゲットを用いたAIP法により,非晶質炭素をマトリックスとし,その中にTiC微結晶が分散したナノコンポジットが作製できた.
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