Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
クロモフォア間の電子的相互作用による電荷共鳴吸収(CRバンド)を示す安定な光生成ラジカルの支配因子と動力学を解明し分子制御を行い,新しい分子間非局在電子系の構築とその光制御及び特異な光機能発現を目的として研究を行っている.本年度は,分子内及び分子間におけるクロモフォアの光誘起電子移動反応により生じるラジカルの電子的相互作用について検討を行った. テトラフェニルホウ酸を対アニオンとする長鎖アルキルを有するシアノピリジニウムモノマー及び同クロモフォアをプロパンで連結したダイマーモデルを合成した.極性溶媒であるアセトニトリル溶液中で脱酸素下において光照射を行うと,可視域にアニオンからシアノピリジニウムカチオンへの光誘起電子移動が起こり,シアノピリジニルラジカルが生じ可視域に吸収が生じた.このとき,ダイマーモデルは近赤外域に1360nmにピークを有する光生成ラジカルともとめカチオンとの電子的相互作用により生じたダイマーラジカルカチオンによるCRバンドが生じた.このCRバンドは,モノマータイプでは観測されなかったことから,ダイマーラジカルカチオンが分子内での電子的相互作用によるものであることが示唆された.なお,低極性溶媒である1,2-ジメトキシエタン溶液中では,モノマー,ダイマーいずれにおいても,ダイマーラジカルカチオンは観測されなかった. また,電子スピン共鳴の測定から超微細構造が観測され,モノマータイプでは17本,ダイマータイプでは44本以上のシグナルが生じた.シミュレーション結果より,前者はモノマーラジカル,後者は二つのクロモフォアで不対電子一個を共有したダイマーラジカルカチオンに帰属され,吸収スペクトルの結果とよく対応することが示された.
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