農山村における各種水域が水生生物の生息場所として果たす機能の研究
Project/Area Number |
13760018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
園芸・造園学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 和弘 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60242161)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 付着珪藻類 / 底生無脊椎動物 / 休耕田 / 谷津田 / 湿原 / ゲンジボタル / 溶存酸素濃度 / 農業用水路 / 珪藻 / ため池 / 富栄養化 / 水質 / 種多様性 |
Research Abstract |
栃木県芳賀郡市貝町内の谷津田、休耕田、用水路、ため池、湧水などの各種水域において、付着珪藻類と底生無脊椎動物の採集、および水質調査を行った。付着珪藻類については、水域の種類に応じて異なった種組成の群集が成立することが示された。休耕田や、人工化の程度が小さなため池においては、Pinnularia属やEunotia属の種類など湿原性の種を含む多様な種の生息が認められたが、水質の富栄養化や水際の人工化が進むにつれて、種組成が単調になる傾向が認められた。また、谷の源頭に近い部分を中心に、用水路では、Meridion属など湧水に多く見られる種が多産することが観察された。過去の文献や、地形や地下水の状況から考えて、こうした種組成は同じ水田でも谷津田に特徴的なものである可能性が高い。以上の結果から、本来の環境条件を残す谷津田は、付着珪藻類にとっても多様な種の生育を保証することが可能な空間であることが示されたと言えよう。 底生無脊椎動物については、流水域である用水路においても小河川とは異なった種組成が認められ、特にトンボ類の優占度が高いことが特徴的であった。谷津田の水環境の本来の状態が保たれていることを示す指標種とされるゲンジボタルについてその分布状況を分析した結果、水路の人工化の程度や水際の植被の状況、および電気伝導度などの水質条件が分布を規定する主要な要因であることが示された。水路の人工化部分が流程の50〜90%に達すると、ゲンジボタルの個体数は大きく減少していた。溶存酸素濃度はおよそ8ppm、電気伝導度はおよそ18mS/mを境にして、これよりも水質が悪化(溶存酸素濃度は低下、電気伝導度は上昇)した場所ではゲンジボタルの数が少なくなっていた。このほか、局所的には水深や流速、広域的には後背地の土地利用状況が、ゲンジボタルの生息に関与している可能性が示唆されたが、その影響度の十分な解明には、適切な空間スケールにおける調査を通じたより詳細な分析が必要である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)