肺組織におけるパターン認識受容体の発現動態とその遺伝子変異 -パターン認識受容体の作用機構と生体防御-
Project/Area Number |
13770115
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Experimental pathology
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石井 裕子 順天堂大学, 医学部, 助手 (00251546)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 殺菌ペプチド / 遺伝子発現 / 転写調節 / 単球 / マクロファージ / 肺上皮細胞 / NFκB / CD14 / Toll-like受容体 |
Research Abstract |
肺組織における初期生体防御機構である自然免疫は、主として肺胞マクロファージ(Mφ)や上皮細胞により担われている。これらの細胞には、病原微生物の認識・結合に関与するToll-like受容体(TLR)・CD14など、種々のパターン認識受容体が発現している。しかしながら、病原体の感染にともなう各受容体の発現動態の変化、ならびに、その相互作用についての知見はほとんど得られていない。 そこで本研究では、パターン認識受容体の作用機構と生体防御に対する役割を解明するため、肺組織をモデルとして、肺胞Mφや上皮細胞におけるパターン認識受容体の作用機構と、自然免疫に対する役割を解明することを目的とし、肺上皮細胞株A549および単球/Mφ系細胞株U937,M0NO-MAC-6(MM6)を用いて検討を加えた。 まず、単球/Mφ系細胞および肺上皮細胞のLPS応答能について、炎症性サイトカインIL-1β,TNF-α産生および殺菌ペプチドβ-defensin(hBD-2)の発現誘導で検討した。単球/Mφ系細胞のU937およびMM6では大腸菌LPS刺激に応答して、IL-1β,TNF-αの産生、hBD-2の発現が誘導された。一方、A649肺上皮細胞単独ではLPS刺激に全く応答しなかったが、単球/Mφ系細胞との共培養によりLPS刺激でhBD-2の発現が誘導された。また、LPS刺激した単球/Mφ系細胞の培養上清によってもhBD-2の発現が誘導された。そこで単球/Mφ系細胞から産生されるIL-1β,TNF-αで肺上皮細胞を刺激したところ、hBD-2の発現が誘導された。そして、IL-1βはTNF-αよりもhBD-2プロモーターの転写活性化能が高いこと、また両サイトカインによるプロモーター活性化には、転写開始点上流-200のNFκB配列へNFκBp65-p50ヘテロダイマーの結合が必須であった。さらに、パターン認識受容体CD14,TLR2,TLR4の発現についてRT-PCRおよび,Flow cytometryで解析したところ、単球/Mφ系細胞はこれら受容体を全て発現していた。一方、肺上皮細胞ではTLR2およびTLR4はmRNA・蛋白共に発現が認められなかったが、CD14はmRNA・蛋白共に発現しており、LPS結合能も保持していた。また、肺上皮細胞はIL-1βおよびTNF-αのシグナル伝達に必要なI型IL-1受容体(IL-1RI)とI型TNF受容体(TNFRI)を共に強く発現していた。 以上の結果より、肺上皮細胞はLPSの認識・結合を担うCD14分子を発現しているが、LPSシグナル伝達を担うTLR4分子を欠くためLPSに応答しないこと、しかしながら、LPS感受性の単球/Mφから産生されたIL-1βやTNF-αなどのサイトカインにより活性化され、NFκB経路を介して殺菌ペプチドhBD-2の発現が誘導されることが示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)