Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
平成13-14年度の研究実績を以下に示す。 1.病原性大腸菌O157の毒素であるShiga-like toxin IIは薬物の中枢移行を増加させること、また、それには薬物輸送担体の機能低下が関与していることが明らかになった[Brain Res, 956 246-253, 2002]。 2.Shiga-like toxin IIはキノロン系抗菌薬の腎尿細管分泌能を低下させるが、それには腎血漿流量の低下と糸球体ろ過速度の減少が関与していることを明らかにした[Antimicrob Agents Chemother, 46 1522-1528. 2002]。 3.Shiga-like toxin IIで変化する薬物の胆汁排泄能・腎排泄能を評価するために有用な実験方法を確立した[Eur J Pharmacol 432 99-105, 2001; Antimicrob Agents Chemother, 45, 3462-3467, 2001; Clin Exp Pharmacol Pharmaceu, 29, 167-172, 2002.]。 4.Shiga-like toxin IIはグルクロン酸抱合能には影響を及ぼさないが、そのグルクロン酸抱合体のMrp2を介する胆汁排泄速度を阻害すること、キノロン系抗菌薬のP糖蛋白質を介する胆汁排泄機能を低下させることを明らかにした[Antimicrob Agents Chemother, in press]。 5.Shiga-like toxin IIで変化する薬物の中枢移行能、組織移行性を評価するために有用な実験方法を確立した[日本神経精神薬理学会誌 21 133-144, 2001; Eur J Pharmacol, 464 39-48. 2003; Eur J Pharmacol, 445 115-123. 200]。 6.Shiga-like toxin IIは薬物の肝代謝能を変化させるが、これにはShiga-like toxin IIでによる肝細胞壊死が関与していることが明らかになった[Antimicrob Agents Chemother, in press]。 以上より、病原性大腸菌O157感染症においては薬物の体内動態に関わる因子が広範に傷害されていることが明らかになった。特に、薬物の能動輸送に関わる薬物輸送担体の機能低下への影響は顕著であり、O157感染症における薬物輸送担体の基質となりうる薬剤の使用には十分な注意が必要であることが今回の研究により明らかになった。本研究により、O157感染症における薬剤の適正使用に向けた新しい情報が提供できたと確信している。
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