Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究の目的は、特に代謝性疾患に注目して、心筋循環動態をMRIで定量的に評価することであった。新しく導入されたtrue FISP法の心臓MRIへの適用を検討するため、true FISP法とfastcard法の比較を行った。Fastcard法では心内腔と心筋のコントラストが特に収縮末期、拡張末期に低下する傾向がみられたのに対し、true FISP法では、心時相に関わらず良好なコントラストが得られた。データ収集時間が短いことも合わせ、心容積指標の算出にはすぐれていると考えられた。しかし、echo timeの問題で心周囲脂肪と接する心外膜側の信号が低下し、心筋壁厚は過小評価され、心筋の評価には適さないことが示唆された。また、長軸断層像では流れによると思われるアーチファクトが強かった。ファントム実験で、使用コイルによる画像特性の違いを評価した。ボディーコイルでは感度は比較的均一であるが、信号/雑音比が低かった。心臓用コイルでは信号/雑音比は改善するが、深部における感度低下は顕著であり、感度補正が不可欠であると考えられた。代謝性疾患を有する患者でも、心perfusion MRIにより、冠動脈疾患をよく診断できた。造影後早期の心内膜/心外膜比は、正常者と比べて明かな低下はみられず、びまん性微小循環障害の指標としての使用は困難と考えられた。原因として、重症例が対象として含まれなかったことの関与も想定されるが、定量的perfusion MRIでは信号/雑音比や空間分解能が比較的低いことが考えられた。びまん性障害の評価には、量的に小さな変化を検出することが要求される。代謝性疾患の心筋循環動態を明らかにするには、心perfusion MRI撮像技術のさらなる向上が必要と考えられた。
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