Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
今回の研究では,以前から報告されている放射線感受性を決定する因子の一つである"p53に依存したアポトーシス"のみにとらわれることなく,細胞自体の放射線感受性の違いが何に起因するのかを明らかにすることを目標とした.とくに,照射後の分裂死と形態が似ている老化を念頭においた. 検討に用いた細胞は,p53 statusの異なる種々の細胞株(放射線によりアポトーシスを起こすwild-type p53を有するヒトPNET (primitive neuroectodermal tumor)細胞株,同一起源でwild-type p53を有し照射によるアポトーシスを誘発する卵黄嚢腫瘍細胞株とmutant-type p53を有し照射によりアポトーシスが誘発されにくい卵黄嚢腫瘍細胞株)である. 照射によるアポトーシスを抑制する目的でcaspase-3/CPP32 inhibitorで処理し,アポトーシスの多寡ならびにcaspase-3/CPP32 activityを検討したところ,すべての細胞株でcaspase-3/CPP32 activityは低下し,それに伴い照射によるアポトーシスが抑制され,放射線感受性も低下した.しかし,老化に関連したタンパクの多く(とくにCDK inhibitorの一つであるp21/WAF-1/CIP-1)は,wild-type p53を有する細胞株では照射後の発現増強を認め,mutant-type p53を有する細胞株では照射による発現変化を認めなかった.そこで,p53に依存しないアポトーシスの経路を検討する目的でcaspase-9とMAP kinase(とくにERK)の照射後の発現変化も追加検討したが,ともに明らかな変化は認めなかった. 今回の結果からは,照射によるアポトーシスを抑制した状態でもp53 statusがその細胞自体の放射線感受性に影響している可能性が残された.
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