Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2001: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis ; ALS)では2種類のUbiquitin化神経細胞内封入体が出現することが知られている。われわれはそのうち新線条体にみられる糸状封入体(Skeinまたはskein-like inclusion)が疾患特異的なものではないことを既に明らかにしているが(Acta Neuropathol,100:43-49,2000),もう1つの円形または三日月型封入体(spherical or crescent-shaped indusions ; SCI)の疾患特異性については未だに不明である。これを明らかにすると同時にSCIの分布と臨床所見との関連について調べるため,24例のALS脳と94例の正常対照脳の脊髄前角,海馬傍回,海馬歯状回,扁桃体,新線状体についてSCIの出現を検討した。新線状体のSCIはALS症例の54%で認められたのに対して,対照脳では1例も見いだせなかった。ALS症例において,罹病期間,前頭側頭型痴呆(Frontotemporal dementia ; FTD)の有無と新線状体にみられるSCIの量に関連はみられなかった。一方海馬傍回皮質第2・3層と扁桃体のSCI出現量と痴呆の存在には有意な相関が認められた。海馬傍回,海馬歯状回および扁桃体の3つの部位におけるSCIの出現量は互いに相関していたが,脊髄前角と他の検索した部位との間には関連はみられなかった。今回の結果は検索した脊髄前角,海馬傍回,海馬歯状回,扁桃体および新線状体のすべての部位でALSに関連する神経変性が起こっていることを示唆している。またSCIの出現部位がALSの疾患特異性,または認知障害すなわちFTDと関連していることは,ALSの神経変性過程が運動ニューロンと非運動ニューロンでは異なって進行することを示すと考えられる。 これらの結果を基にして,Motor Neuron disease (MND)型FTD冷凍保存脳のうち最も封入体の抽出の容易と考えられる側頭葉内側部を摘出し蛋白の抽出と粗分画を行った。その後抗ユビキチン抗体を用いてウエスタンブロット法を行い,MND型FTD症例で発現し正常コントロールで発現していないバンドの探索を試みたが,現在のところMND型FTDで有意に発現の増加している蛋白を見出すことができていない。今後蛋白の抽出法を変えてさらに試みる予定である。
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