歯科鋳造用Ti-Cu系三元合金の開発

Research Project

Project/Area Number	13771188
Research Category	Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Allocation Type	Single-year Grants
Research Field	補綴理工系歯学
Research Institution	Tokyo Dental College
Principal Investigator	服部雅之東京歯科大学, 歯学部, 助手 (10307390)
Project Period (FY)	2002 – 2003
Project Status	Completed (Fiscal Year 2002)
Budget Amount *help	¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000) Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000) Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Keywords	チタン / チタン合金 / チタン鋳造
Research Abstract	昨年度の研究実績の報告に基づき、Ti-5.0mass%CuおよびTi-10.0mass%Cu合金にクロム(Cr:0.5,1.0,3.0,5.0 mass%)を添加した試作チタン合金を作製し、これら鋳造体の機械的性質の測定を行った結果Ti-5.0Cu合金では0.5および1.0%クロムの添加で伸びが有意に向上し、またTi-10.0Cu合金では0.5,1.0および3.0%のクロム添加で伸びが向上することが明らかとなった。本研究において比較的伸びが大きかった試作合金鋳造体の引張試験後の破断面におけるSEM観察では、所々にデンドライド像が認められるものの、おおむね、へき開破面像を呈していた。微細組織観察ではTi-5.0mass%Cu合金では、クロムの添加量が増加するにしたがい結晶粒が微細になっている像が観察されたが、Ti-10.0mass%Cuへクロムを添加した試料では結晶粒の微細化は認められず、Ti-Cuの析出層と思われる像が確認できた。さらにTi-10.0mass%Cu合金にジルコニウム(Zr:1.0,3.0,5.0mass%)を添加した試作三元合金の機械的性質の評価を行った。1.0%ジルコニウム添加により耐力は減少傾向を示し、3.0,5.0%添加では増加する傾向を示した。伸びは、1.0,3.0および5.0%の添加により有意に減少する傾向を示した。また鋳造体表層からのビッカース硬さの変化は、各添加試料ともに鋳造体表層から50μm付近の硬さが最も大きい値を示し、表層から200μm以上では各試料ともに変化は認められなかった。SEM観察ではジルコニウムの添加量にかかわらず、へき開破面像を呈していた。よってTi-Cu合金へのジルコニウムの1.0〜5.0%の添加は耐力および引張強さの顕著な向上は認められず、伸びが低下したことから機械的性質の向上には効果的でないことが示唆された。本研究において、5.0%程度の伸びを示したTi-5.0mass%Cuに0.5〜1.0%クロムを微量添加した試作合金が、歯科鋳造用合金として応用可能であることが示唆された。しかしながら、融点の低下効果や快削性を考慮するとTi-10.0mass%Cu合金にクロムを微量添加した合金も有用と考えられるが、熱処理などによる延性の改善が必要であると思われた。