Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
加齢および薬剤投与による唾液腺分泌減少は、自己免疫疾患に位置付けられるシェーグレン症候群患者と同様に、口腔乾燥状態が原因による齲蝕の多発、歯周病の増悪などを起こしやすい。糖尿病のモデルマウスであるNODマウスは、唾液分泌機能も障害されていて、そのことは、腺上皮細胞のアポトーシスが原因の一つと考えられている。本研究では、まず、唾液腺分泌減少と腺上皮細胞のアポトーシスの関連をみるため、NODマウスより得た唾液腺を用いて、アポトーシスの指標となるTUNEL染色を行い、腺上皮細胞のアポトーシスがおこりやすい領域を特定した。次に、アポトーシス領域と正常唾液腺の各々より細胞をライン化し、Facscanを用いて細胞表面の発現について、特にFasやFasLの発現について、培養条件を変えながら解析を行った。また、唾液腺が傷害を受ける機構については、T細胞の関与が大きいことが予想されたため、抗体を用いたelispot法やクロミウムにより、細胞障害活性の程度について確認した。さらに、T細胞のライン化を試みて、抗原認識における機構の解析を行う予定である。また、唾液腺細胞における各種シグナル伝達分子の関わりについては、細胞より得たmRNAを用いて解析を行った。また、インターフェロンの存在、非存在の条件の違いにより、サイトカインの種類によっては、発現に違いが認められ、アポトーシス関連分子の発現にも違いが認められた。一方、TNF-αの存在、非存在の条件の違いによる発現の相違は、ほとんど認めなかった。