海馬長期増強の形成を促進させる薬物の作用機序の解明と学習亢進薬への応用
Project/Area Number |
13771390
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biological pharmacy
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
枝川 義邦 日本大学, 薬学部, 助手 (50303607)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 歯状回 / 長期増強 / グルカン / 地衣類 / PB-2 / アドレナリンβ受容体 / インターロイキン-1β / 麻酔下ラット / 海馬体 / レンチナン / β-グルカン / 副腎摘出 / コルチコステロン |
Research Abstract |
平成14年度には,地衣類Flavoparmelia baltimorensis由来の多糖であるPB-2のラット歯状回長期増強(LTP)に関する効果を検討した.PB-2は経口投与・静脈内投与の二経路においてそれぞれ60Hz,30発で誘導されるLTPを増大させた.しかし,この効果は脳室内投与では見られなかったので,PB-2のLTP増大効果は中枢への直接作用により生じるのではなく,末梢の因子を介した機序により生じることが考えられた. 次にPB-2のLTP増大作用の機序を明らかにする為に,アドレナリンβ受容体の関与を検討した.アドレナリンβ受容体拮抗薬を静脈内投与すると,同じく静脈内投与したPB-2のLTP増大効果が消失した.脳室内に投与した拮抗薬もまた静脈内投与したPB-2の増大効果を消失させた.末梢・中枢のβ受容体はPB-2の投与により独立に活性化しているのではなく,末梢のβ受容体が活性化する事によって中枢のβ受容体も活性化することが示唆された.中枢では,特に歯状回のβ受容体が関与する事も明らかにされた. 末梢血中のインターロイキン-1(IL-1)は中枢のノルエピネフリン量を調節する事が報告されているので,PB-2によるLTP増大効果へのIL-1βの関与について検討した.静脈内投与したIL-1βの受容体拮抗薬はPB-2のLTP増大効果を増強した.IL-1βは単独ではLTPを抑制したので,上の結果はPB-2がIL-1βの放出を介してLTPを抑制している事を示唆する.IL-1受容体とアドレナリンβ受容体との関連については現在検討中である. 以上より,PB-2はLTPに対してアドレナリンβ受容体を介したLTP増大効果とIL-1受容体を介したLTP抑制効果という相反する二つの効果を併せ持ち,それらのバランスにより見かけ上のLTPに対する効果が現れることが示唆された.
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)
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[Publications] Hirano E, Saito H, Ito Y, Ishige K, Edagawa Y, Shimizu N, Takeda T, Narui T, Shibata S, Abe K: "PB-2, a polysaccharide fraction from lichen Flaveparmelia baltimorensis, peripherally promotes the induction of long-term potentiation in the rat dentate gyrus in vivo"Brain Research. 963. 307-311 (2003)
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