Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
筑波技術短期大学聴覚部は聴覚に障害を持つ学生のための学部である.障害の性質に配慮して,筑波技術短期大学聴覚部における授業は一クラス十人前後の少人数制が採用されている.しかし,少人数とはいえ学生間の数学に関する習熟度には大きな差があるため,個々の学生からの個別的な要望に応えることは容易ではない.本研究においては,少人数クラスであることによる利点を活かし,数学に関する個別対応型の学習支援の方法についていくつかの実験を通して検討した.主なものを以下に略記する. (1)演習問題の選択・配列に関する実験 演習授業において,各学生ができるだけ独力で課題に取り組むことができるようにするためには,提示される課題間に飛躍が少なく,連続的に配列されていることが望ましい.そこで,課題同士の類似性を調べるために,学生の協力を得て実験をおこなった.課題として扱った題材は,数式の表すグラフ(図)を描くものである.分析手法として,グラフィカルモデリングを利用した.各課題はいくつかの項目に分けられているが,本実験を通して,課題に対する正答率の高い学生ほど項目間の関連を強く意識しており,構造的な理解が進んでいることが図によって示された.また,これらの課題に関して学生がつまづき易い箇所を理解するためのヒントとすることができた.各学生の持つ特性の一端を知ることにより,個別に学習支援をおこなう際の参考にすることが可能となった. (2)動画ソフトを用いた実験 聴覚に障害を持つ学生の多くは,視覚情報に対して鋭敏な感覚を持っているように思う.そうした学生に対して教材を考案する際には,豊かな視覚情報を提供することが重要なことのように思われる.そこで,本研究においては,別途開発した動画教材を用いて,動画像利用の効果に関する実験を実施した.文字や静止画だけでは伝達が難しい内容であっても動画教材を用いることによって瞬時に正確な情報を共有できる.また,コンピュータを用いているため,試行錯誤が容易であり,画面上の図形を少しずつ動かして連続的な変化を観察できるため,想像力を豊かにする可能性も示唆された. 今後も継続して,動画像を効果的に利用した個別対応型の学習支援教材の開発に取り組んでいきたい.
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