Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
情報通信技術の社会への浸透に伴い、人間とコンピュータとのインターフェイスの設計はますます重要になっている。そこで本研究は、特に幼児や高齢者のような情報弱者を対象とし、コンピュータを意識することなく、知的な作業を支援するためのシステムの構築を目指した。本年度は昨年度に引き続き、RFID(Radio Frequency Identification)技術に基づくセンシングボードを活用し、他者との協調学習を支援するためのシステムを構築した。具体的には、音楽を対象とし、ゲーム感覚で音に親しむとともに、和音の学習を支援するためのシステムの構築を行った。本研究では、まず最初に、物理世界と仮想世界とを連携させる拡張現実感の技術に基づき、直感的に操作可能なユーザインターフェイスを構築した。それにより、コンピュータを利用することによる身体的、精神的な障壁を軽減し、誰もが容易に協調作業に参加できることを目指した。構築されたシステムでは、センシングボード上に、利用者によって選ばれた複数の楽器を表示される。利用者は、物理的なコマ(RFIDタグを埋め込んでいる)を用いて表示された楽器の適切な場所に触れることにより、その楽器の任意の音色を奏でることが出来る。複数の利用者からの操作はセンシングボードによって瞬時に認識される(同時多入力)ので、音楽の伴奏に合わせつつ、グループで合奏を行うことが可能になる。利用者は、没入感の高い環境を通して視覚的、聴覚的なフィードバックを受けつつ他者と協調しながら、学習を進めることができる。