Research Abstract |
本研究の目的は,確率的な不確実性と人間の判断の曖昧性とが同時に存在する状況下での数理計画に対する有用なモデルの構築,および効率的な解法の提案を行うとともに「ファジィランダム数理計画」の統一的な枠組みの基礎を構成することである.本年度は2001年度で作成したプログラムを用いていくつかの問題を解くことにより,それぞれのモデルで得られる解の特徴を分析するためにファジィ数理計画モデルや確率計画モデルとの解の比較も行い,ファジィ及び確率的な2つ情報を損なわないモデルであることを確かめた.また,この成果を電子情報通信学会誌に投稿し,既に論文掲載されることが採択済みである.また,2つめの課題であるファジィランダム変数を含む離散最適化問題については,目的関数や制約式の係数値の微小変化に対して解がドラスティックに変化することがあるため,離散最適化問題の中で重要ではあるが解くことが比較的容易であるスパニングツリー問題とナップサック問題に対して解析を行った.当初は多項式時間アルゴリズムの構築は容易でないと考えていたが,パラメトリック最適化の手法を利用することにより,それぞれ多項式時間で解くアルゴリズムを構築することができた.これらの成果をスパニングツリー問題についてはEuropean Journal of Operational Research,ナップサック問題については日本知能情報ファジィ学会論文誌,Central European Journal of Operations Researchに投稿し,既に掲載されることが決まっている.さらに当初の計画には無かったが,ファジィ性とランダム性の両方を含む要素を表すための代表的な数学的概念としてファジィランダム変数,ランダムファジィ変数,ファジィ事象,確率集合を取り上げ,それぞれの違いを明確にし,確率変数の実現値に対する曖昧さの違いがファジィランダム変数とファジィ事象の違いであることを示した.また,これらの成果を第5回Czech-Japan Seminarの国際会議で発表した.
|