Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
遺伝的多様性の維持は長期的な藻場の維持に非常に重要なことである.そこで,日本近海におけるアマモの遺伝的多様性の調査を行った.その結果サンプリングしたアマモ、コアマモ、リュウキュウアマモ、ウミヒルモ、リュウキュウスガモ、ウミジグサ、マツバノウミジグサ、ボウバアマモ、ベニアマモをから12酵素(MDH, ME, ACP, TPI, GPI, ADH, MR, PGM, G6PDH, ACO, IDH, ALD)20遺伝子座(Mdh-1,Mdh-2,Me-1,Me-2,Acp-1,Acp-2,Acp-3,Tpi-1,Tpi-2,Gpi, Adh-1,Adh-2,Mr-1,Mr-2,Pgm, G6pdh-1,G6pdh-2,Aco, Idh, Ald)が検出された。これらを用いて,近交係数,遺伝的多様性P、遺伝子多様度H_S,分集団内の近交係数を表すF_<IS>,分集団の遺伝的分化の程度をあらわす固定指数F_<ST>,集団間の遺伝的分化を表すG_<ST>,遺伝子間距離Dについて求めた結果,遺伝子多様度を示すH_Iの値、また集団全体の遺伝子多様度を示すH_Tの値も高く、遺伝的多型の観察された遺伝子座における対立遺伝子頻度も高かった。沖縄本島で平均して高い値になり遺伝子多様性が特に高いことが示された。すべての種において、集団間の遺伝的分化を示すG_<ST>の値が小さく、遺伝的分化があまり起こっていないことが示された。海域ではこれまで観察されてきた海草群落において、ほとんどの場合、G_<ST>の値が大きく遺伝的分化の度合いが高いことが示されてきた。今回の結果は比較的遠く離れた集団においても遺伝子流動が頻繁に起こっているため、遺伝的分化があまり起こっていないことが示された。しかし、生育地が離れていたほうが遺伝的分化が大きい頃向も認められた。多くの海草において一般的に多型性が認められないと考えられてきた(Waycott1995)。Ruckelshaus(1996)、およびSchlueter and Guttman(1998)では、アマモ、タートルグラス(Thalassia teseudinum)において非常に高い割合で遺伝子流動が起きているという報告をしているが、今回調査した9種の海草類でもこれらと同様の高い遺伝子流動が観察された。
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