Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
真核細胞には極めて複雑な膜系が存在し、その内部はそれぞれ固有のpHとイオン濃度に保たれている。イオン輸送性膜タンパク質は、脂質二重膜を介したイオンの輸送を行い、細胞質や細胞小器官内のpHやイオン濃度の調節と維持を担う。そのため、イオン輸送性膜タンパク質がその生理機能を発揮するためには適切な膜系に局在しなければならない。私達はNa^+/H^+交換輸送膜タンパク質(NHE)の活性調節タンパク質が、キネシン型微小管モーター分子(KIF1Bβ2)と結合することを見い出した。この知見から、微小管モーター分子によって、NHEの細胞内局在化が制御させていると考えられた。免疫細胞染色実験と細胞分画実験によって、KIF1Bβ2は神経シナプス小胞やリソソームなどの酸性コンパートに存在し、これらのコンパートメント上で機能するNHEの細胞内輸送に関わることが示唆された。細胞内局在化に伴うNHEの活性調節機構を明らかにするために、NHEの定量的活性測定系を開発した。これまで、NHEのイオン輸送活性は。発現細胞の耐塩力の比較や、細胞内Na^+量とH^+量を定量することによって測定されていた。そのため、特異性に欠き速度論的解析をすることが困難であった。そこで、NHE発現型酵母細胞から単離した分泌小胞と、精製組換えNHEタンパク質を組み込んだ再構成プロテオリポソームを用いて、特異的かつ定量的活性測定系を開発した。いずれの測定法も、Na^+の輸送に伴うH^+の対向輸送が観察された。さらに、その輸送量は放射性同位元素とpH指示薬を用いることによって定量的に測定された。これにより、生体膜小胞を用いた測定法と精製NHEタンパク質を用いた測定法が確立され、Na^+/H^+交換輸送を特異的かつ定量的に測定することが可能となった。
All Other
All Publications (4 results)