Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Research Abstract |
私はベンゾジアゼピン系薬物の一種であるミダゾラムを用いた実験において,抑制性シナプス後電位増強作用にラット海馬内で領域差が存在する事を明らかにしてきた.本研究では,海馬CA1,CA3,および歯状回の各領域間における抑制性シナプス伝達の生理学的性質の相違性に注目し解析を行った.約2-4週齢のWistarラットより作製した海馬スライス標本にパッチクランプ法を適用し,CA1-錐体細胞(CA1-PC),CA3-錐体細胞(CA3-PC),歯状回-顆粒細胞(DG-GC)における抑制性シナプス後電流(IPSC)を膜電位固定下で測定した.IPSCは興奮性シナプス伝達を薬理学的に除去した上で,記録細胞の近傍の介在ニューロンを双極電極で電気刺激することにより記録された.そしてミダゾラム(0.3,1,10,75μM)の細胞外投与に対するIPSCの振幅の変化とdecayの時定数を記録した.その結果,ミダゾラム(1,10,75μM)はCA1-PCとCA3-PCでのIPSCの振幅を増大させ,その変化はDG-GCでのIPSC変化に対して有意差があった.またIPSCのdecayの時定数は,ミダゾラム投与前に対してミダゾラム10μM投与後では有意に増大した.しかし海馬CA1,CA3およびDGの各領域間では,IPSCのdecayの時定数のミダゾラムによる有意な変化は見られなかった.これらの実験成績から,海馬CA1,CA3での抑制性シナプス伝達様式に対する,DG領域での相違性が示され,これらの領域間においてGABA_A受容体の異なるサブタイプが存在することが示唆された.本研究結果については第79回日本生理学会大会(広島),第82回北海道医学大会生理系分科会(札幌),The 12th Neuropharmacology Conference (Orlando,USA)において報告した.
|