糖質高分子を用いた肝前駆様細胞の探索と肝臓組織形成場における分子実態の解明
Project/Area Number |
13780677
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Biomedical engineering/Biological material science
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊勢 裕彦 信州大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10324253)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 肝前駆細胞 / 肝細胞 / アシアロ糖タンパク質レセプター / 組織工学 / 糖質高分子 / 肝細胞移植療法 / 肝再生 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
近年、幹細胞システムを利用した再生医療が注目され精力的に研究が進められている。この再生医療を展開していくにあたり幹細胞や前駆細胞の効率のよい単離やこれらの細胞の分化制御が必要であることが考えられる。そこで我々は肝臓の移植治療に代わる肝前駆細胞を用いた肝細胞移植療法を開発するにあたり、当研究室で開発された糖質高分子PVLA(poly(N-vinylbenzyl-O-β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-gluconamide))を利用することで効率のよい高増殖性の肝前駆様細胞の単離を検討した.我々は、成体の肝臓において増殖性の高い肝前駆様細胞の単離を行うために肝細胞膜に存在するアシアロ糖タンパク質レセプターの発現に着目した。このレセプターは、肝臓の分化状態に応じて発現が変化することが報告されている。この報告からこのレセプターの発現の低い肝細胞群は分化状態が低く高増殖性であることが考えられる。そこでこのアシアロ糖タンパク質レセプター(ASGPR)の発現を基準に肝細胞を分離することで高増殖性の肝細胞の単離を検討した。このPVLAを利用することでPVLAに対して相互作用が弱い肝細胞を集めることでこのレセプターの発現の低い肝細胞(ASGPR 低発現肝細胞)を得た。これらの肝細胞は全体の細胞数の1〜5%程度であった。そしてこれらの肝細胞の増殖性は、レセプターの発現の高い肝細胞群(約95%)と比較するとおよそ10倍程度DNA合成活性が高いことが明らかになった。またラミニンとコラーゲンタイプIV型を含むコラーゲンゲル内培養を行った場合、ASGPR低発現肝細胞は高い増殖を示した。さらにこのASGPR低発現肝細胞の生体内での増殖を検討するために肝傷害を起こしたラットにASGPR低発現ラット肝細胞を移植しその増殖を検討した.肝細胞移植60日後において移植された肝細胞の肝臓内での占有率を検討したところ,ASGPRで分画していない通常の肝細胞の移植では占有率は7%程度であったのに対して,ASGPR低発現肝細胞の占有率は約80%であり著しい増殖が確認された.このASGPR低発現肝細胞の性質としてEGFレセプター、ラミニンのレセプターであるインテグリンα6、β1の発現が高いこと、さらには細胞のアポトーシスを防ぐタンパクであるBcl-xlの発現が高いことが明らかになった.以上のことからこれまでの研究成果としてASGPR低発現肝細胞が生体内や生体外で高い増殖を示すことや抗アポトーシスタンパクBcl-xlの発現が高いことなどの事実から,現在知られている小型肝細胞やoval cellとは異る肝前駆様細胞の可能性が考えられ,そしてこれらの肝細胞が肝傷害ラットの肝臓内で著しい増殖を示すことから肝細胞移植療法などの再生医療の一助となる知見を得ることができた.さらに糖質高分子PVLAを用いることでこれらの細胞の容易な分離を可能にし,肝前駆様細胞の増殖環境の分子実体としてラミニンとコラーゲンタイプIVが重要であることを明らかにすることができた.
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)