Research Project
Grant-in-Aid for Exploratory Research
生後4ヶ月と9ヶ月の2群を対象とし、模倣実験は4ヶ月児のみに行った。模倣実験では、1分の観察期間のあと、実験者が被験児に対面し、刺激を提示した(口を開ける、舌を出す、口をとがらす、手を開いたり閉じたりする、順に指を折る)。これらの刺激は各15秒間に4回示され、各30秒の反応時間が与えられた。実験者、被験児の動きが録画され、後に被験児のビデオ記録は、実験に直接関わらない3名によって、それぞれの動きの頻度、その明瞭度が評定された。眼球運動測定においては、被験児は3つのモニタに65cm離れて対面した。眼球運動は児のすわったチャイルドシートの下方より録画された。各試行ではまず中央モニタに注視刺激(動きや音をつける)が提示され、その後、課題によって(回帰の抑制課題、カウンタサッケイド課題)それぞれの手続きで、左右モニタのいずれか(中央から視角にしてそれぞれ30°の位置)にキュー刺激、タッゲト刺激が提示された。実験に直接関わらない2名の評定者が、被験児が注視刺激から最初にサッケイドした方向とその潜時(ターゲットのオンセットから眼球運動が始まるまでのフレーム数)を計測した。回帰の抑制、カウンタサッケードそれぞれに関する指標の採り方を検討したのち、月齢による差異を検討した。その結果、回帰の抑制について、反応時間による抑制の指標に月齢差が認められた。4ヶ月児の模倣行為と眼球運動の関係に関しては、模倣行為の少ない児にはターゲットが出現する前にanticipationエラーが多くみられた。これらと並行して、養育者に対して"乳児の行動に関する調査紙"を実施した。これは、昨年度実施した日本語版IBQ-Rの調査結果をもとに、成人が乳児の行動をどのように意味づけるかについて日米比較を行うことを目的とした。現在データを分析中である。