Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
監査,とりわけ財務諸表監査という社会システムは,それが成立している時代背景によってその役割が規定される。監査人によって表明される監査意見の意義も,相対的な性格をもつことになる。1970年代までは,「適正意見」はかなり狭く解釈されてきた。とくに,企業不正や被監査企業の事業継続能力に関して,財務諸表監査は積極的に役割を認識して来なかった。 ところが,今日では,これらの問題はむしろ財務諸表監査の中心的な課題として認識されつつある。そして,これに対応するために,監査人は,企業の内部統制やコーポレート・ガバナンス体制の整備状況までも考慮に入れながら財務諸表の監査を実施することが必要になってきた。 監査環境の激変は,財務諸表監査のあり方や体制に大きな影響を及ぼすことになった。こうした状況下で有効かつ効率的に監査を実施するためには,内部監査および監査役(監査委員会)監査との相互協力・補完関係が必須の前提となる。監査のネットワーク化によって,社会的な要請を満たし得る体制を確立することができる。 それぞれに確立された役割や機能をもつ監査を別個に捉えるのではなく,一つのネットワークとして機能させるという考え方は,財務諸表監査を中心とした監査制度ならびにそれを支える監査理論のパラダイム変換に繋がる可能性をもっている。 本研究では,監査をネットワークというシステムとして認識することの意義を明らかにした。その上で,具体的なネットワーキングの概念的枠組みを構築した。今後は,これを理論的により精緻化するとともに,実行可能性の確立についての研究に着手することになる。
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