Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Research Abstract |
本年度はまず第一に,たとえばデルタ関数のような特異項をもつ確率偏微分方程式について研究を行った.ここでの特異項は,界面が一定の高さになったときに瞬間的に界面に対して作用する下向きの強い力を表す.昨年度は,微視的界面モデルのGibbs分布に弱い自己ポテンシャルの効果を加えて得られる定常系について,大偏差原理を証明し,巨視的に界面が負の側にあれば優位性をもつことを示した.これは平衡系に対する考察であったが,本年度は,それを時間発展系にまで拡張しようと試みた.特異項は空間的に積分すれば占有測度として解釈することができ,このとき確率偏微分方程式の解には超関数としての意味を与えることが可能になる.近似解に対する緊密性の議論を行うことにより,特異項をもつ確率偏微分方程式の解を構成することができる. 第二に,上記の微視的Gibbs分布に対応する時間発展をLangevin力学(Ginzburg-Landau界面モデルともいう)により直接的に導入し,この系から出発して巨視的レベルへと移行させる流体力学極限の問題を考察した.極限では自由境界をもつ偏微分方程式が得られた.特異項の強さによっては濡れ転移が観測される. 第三に,相互作用をもつブラウン粒子系について温度パラメータを0に近づける低温極限の問題に関する考察を発展させた。この問題は,相共存と相分離の下で現れる,いわゆるWulff図形の運動を数学的に厳密な意味で研究しようという試みである.
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