遷移金属酸化物における光による格子歪みの制御と近赤外線光敏感機械機能の検出
Project/Area Number |
13875121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | 東京商船大学 |
Principal Investigator |
和泉 充 東京商船大学, 商船学部, 教授 (50159802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 徹哉 理化学研究所, 半導体工学研究室・(現国立広島商船高等専門学校電子), 助手 (80344026)
柳沢 修実 国立弓削商船高等専門学校, 商船学科, 助手 (00332081)
大貫 等 東京商船大学, 商船学部, 助手 (60223898)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 光機能性酸化物 / 光敏感磁性 / ペロブスカイト / クロム酸化物 / 近赤外線検出 / 電子スピン共鳴 / 光照射効果 / 赤外線センサー / スピネル / マンガン酸化物 / 機能性酸化物 |
Research Abstract |
クロムやマンガンなどの酸化物では、金属元素を取り囲んで酸素原子が構成する8面体配位によって、金属イオンは多彩な電子状態と磁気モーメントをもつ。この8面体ブロックを結晶構造として、どのように組ませるかによって、金属から誘電体、磁性体まで多様な材料を得ることが可能である。これに外部から光を照射することような光誘起による物性変化の検出には電子スピン共鳴法が適している。 具体的には、スピネル型構造をとるマンガン酸化物、ペロブスカイト型をとるマンガンおよびクロムの酸化物を選び出すとともに、生体計測や環境計測に重要な、近赤外線領域波長1ミクロンの光に敏感に応答して応用の可能性を追究できる物質の探索を行った。実験方法は、Xバンド電子スピン共鳴装置を用いて共振器中の試料に半導体レーザーからの近赤外線を照射することにより光誘起磁性、スピン磁化の検出を試みた。この結果、変形ペロブスカイト型構造をもつLa-Pr-Cr-O系固溶体において顕著な近赤外線照射によるスピン磁化の増大が観測された。この特徴は、以下の通りである。[1]室温近傍の反強磁性体へ相転移するネール温度直上で顕著であること、[2]照射光強度に比例して可逆かつ比較的速い応答で光誘起磁化を示すこと、[3]光誘起磁化は、LaとPrの組成比に強く依存して、Prが微量固溶した組成で最大の磁化を示す。成果は、応用物理学会、低温物理学国際会議、酸化物エレクトロニクス国際会議、米国材料学会でポスター、口頭講演により公表された。 このような発見にもとづき、光誘起磁化の起源が、単なる光励起キャリアによるのか、何らかの集団的なスピンの励起に関わるのか、また光による他の複次的効果なのかを明らかにする研究が必要である。また、応用的見地から近赤外線検出素子としての展開も可能と判断し、別記のような特許請求も行った。同様の現象は、他のクロム酸化物でも見出される可能性があり、光誘起磁化の発現機構の解明や応用基盤を目的とした次の段階の研究展開が必要である。光励起によってクロム酸化物薄膜に電子活性な状態が生じるとすれば、薄膜表面上に異種の物質薄膜や有機膜を作製し、接合界面での特異な電荷、スピンの移動効果などが期待できる。この可能性についても今後の探査が必要であり、本研究は、酸化物光エレクトロニクスの新たな一面を切り開く端緒をなりうる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)