Project/Area Number |
13876046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高橋 是太郎 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (90125328)
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Project Period (FY) |
2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | SCF / リン脂質 / リゾレシチン / ホスホリパーゼ / エステル合成反応 / DHA / ドコサヘキサエン酸 |
Research Abstract |
ホスホリパーゼA2によるドコサヘキサエン酸(DHA)結合型リン脂質の合成を行うに当たり、超臨界二酸化炭素中でのエステル合成反応を試みた。超臨界二酸化炭素の圧力、温度、水分量、ホスホリパーゼA2の固定化の有無等が所望のエステル合成反応に与える影響について検討し、以下のことが判明した。 1.超臨界二酸化炭素の圧力と温度は基質の溶解度に著しく影響する。 2.超臨界二酸化炭素をあらかじめ水分で飽和しておかないと、超臨界二酸化炭素がホスホリパーゼA2の活性発現に必要な必須水分まで引き抜いてしまい、その結果、所望のエステル合成反応が進行しない。 3.僅かな余剰水分で基質が容易且つ速やかに加水分解する。すなわち水分量の制御が精密に行われなければ、エステル合成反応は進行しない。 4.ホスホリパーゼA2の固定化によって固定化酵素中に空気(酸素)が閉じ込められ、それが反応中に酵素を酸化させてしまっている可能性がある。その結果、所望のエステル合成反応が進行していないことが推察される。 5.超臨界二酸化炭素中のホスホリパーゼA2によるDHA結合型リン脂質の合成反応においても活性発現に不可欠な必須水分代替物として、ホルムアミドが必要であることが判明した。 以上のことより、先ずは基質に用いた大豆由来のリゾレシチン、DHA、及びそれらのエステル合成物であるDHA結合型リン脂質の超臨界二酸化炭素における溶解度について、圧力と温度との関係で詳細に調べておく必要がある。それによって、例えば目的物であるDHA結合型リン脂質が相対的に低溶解度となる圧力と温度の条件にシフトさせる方法をとれば、所望のエステル合成反応を進行させ得る可能性がある。また、反応初速度を十分速くするためにはホルムアミドの如き高誘電物質の使用が避けられないものと判断される。 本研究では予算の制約上、超臨界二酸化炭素装置を購入できず、依頼分析でデータ取りをせざるを得なかった。もしも手元に装置があったなら、木目細かな圧力・温度・高誘電物質量等の諸条件と、収率との関係を示すデータが得られ、超臨界二酸化炭素中でDHA結合型リン脂質を合成する至適条件を決定できたものと考える。
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