Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
1)マラリアに関する疫学データ解析の進行状況:昨年に引き続きパプア・ニューギニア国東セピック州ウェワクから50km以内に位置する異なる地理環境,文化環境を持つコミュニティでマラリア疫学調査を施行し,海岸部,丘陵部,平原部の疫学データおよび血液標本を収集した.全体で11,276枚のスライドを検査した結果,マラリア感染率は24%で勢帯熱が優勢で,三日熱,四日熱の順であった.顕微鏡的には卵型マラリアは見られなかったが,PCR診断では少数例で検出された.概して1-4歳で熱帯熱マラリア感染率が高く,島嶼部,沿岸部では感染率20%程度であったのに対し,平原部では40%を超え雨季,乾季の差は小さかった.山麓部では乾季では熱帯熱マラリアはほとんど見られなかったが,雨季には平原部に匹敵するほど高率であった.一方,三日熱マラリアは地域による差が小さく1-4歳児では10%程度の感染率であった. 2)遺伝子解析の進行状況:Ovalocytosis(卵形赤血球症)を起こす遺伝型を持つ患者はホモ接合では致死に至るが,ヘテロではマラリア抵抗性があることが知られている.パプア・ニューギニア国,東セピック州のコミュニティで収集した血液標本を用いてマラリア浸淫度とovalocytosisの関係を考察した.血液標本からDNAを抽出し,PCR法にて5-14歳の計758人についてovalocytosisに関与するBand 3遺伝子の27bp欠損の有無を判定した.その結果,島嶼部,沿岸部では4-13%に欠損が見られたのに対し,マラリア浸淫度がより高い山麓部,平原部では欠損は全く見られなかった.以上よりovalocytosisはパプア・ニューギニアで独立に進化したものではなく,パプア・ニューギニア島嶼部に移住してきた祖先集団中に存在していた形質であり,それがマラリアの存在下で保存されていることが示唆された.
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