Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2003: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
女性が頻回に細菌性膀胱炎を繰り返す原因のひとつとして,膣内の病原性細菌の異常増殖が考えられている。近年,Probioticsとして注目を集めている乳酸菌は,膣内に正常細菌叢を形成することにより,病原性細菌の定着を防止するという重要な役割を担っている。乳酸菌による病原細菌の膣内定着阻止には様々な作用機序が考えられており,膣内の酸性化がその中心であり,乳酸菌自体による病原性細菌付着の競合阻害,H_2O_2などの抗菌物質の産生,さらには細胞性免疫の賦活作用なども報告されている。 今回,岐阜大学医学部附属嫌気性菌実験施設・加藤直樹助教授より供与されたL.crispatus GAI98322株,99098株,99099株の過酸化水素産生能を検討した。測定方法は,測定用培地に0.5%glucose ILS brothを用い,測定用試薬としてBIOXTECH<【○!R】>H_2O_2-560^<TM>(Oxis International, Inc.)を使用し,各菌株ともそれぞれ5回測定した。さらに,独自に作製した乳酸菌膣坐剤の細菌性尿路感染症の再発抑制効果について臨床的検討を行った。 L.crispatusを,測定用培地で36時間培養した時点で測定したH_2O_2濃度はGAI98322株では32.32±4.06μM,99098株では7.30±0.502μM,99099株では24.54±0.14μMであり,GAI98322株が最も高いH_2O_2産生能を示した。臨床試験の対象は,尿路感染症を過去1年間に2回以上発症した女性患者とした。投与方法は,乳酸菌膣坐剤1個を2日に1回(就寝前)の膣内投与とした。乳酸菌膣坐剤の作製には,最も高いH_2O_2産生能を示したL.crispatus GAI98322株を使用し,坐剤1個につき生菌数約1×10^8個になるように基材であるホスコH-15に加えて固化し乳酸菌坐剤を作製した。なお,本臨床試験は,臨床自主研究として岡山大学医学部治験審査委員会での承認を受けて実施した。現時点で対象となった患者は10例で,一定の再発抑制効果を認め,また特に副作用の発現もなく有用性および安全性が示唆された。
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