Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
分子計算は本来確率的であり,分子反応を利用した計算も必然的に確率的にならざるを得ない.本研究では,分子反応のシミュレーションに用いられる技法に着目して,確率的計算理論の足がかりを得ることを目指してきた.DNA分子やRNA分子を利用した分子計算では,入念に設計したDNAやRNA配列を様々に組み合わせて,目的の構造分子を形成することを基本にしている.その際,目的の構造分子の存在確率が最も高くなることが望まれる.ここで,熱力学的には,自由エネルギー値の低い構造分子ほど存在確率が高くなる.そこで,本年度は,配列を様々に組み合わせでできる一本鎖構造分子の集合の中で,熱力学的自由エネルギーが最小になる構造分子を計算する効率的なアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは,配列を正則に組み合わせてできる(一般に無限集合でもよい)配列集合の中から,最小の自由エネルギーの構造をとり得る配列とその二次構造をO(n^8)の計算時間で求める.ここで,nは配列の組み合わせ方を指定する正則言語を表すオートマトンの状態数である.この成果は,Anne Condon(British Columbia大学)らによって未解決とされていた問題を解決したものである.この成果は,配列の設計問題における評価アルゴリズムとして具体的に応用することができる.また,さらに本年度は,準最適な構造も含めて存在確率を分析する計算理論を構築するための計算モデルとして,どのようなものが適切であるかの考察を進めた.そして,セルオートマトンを一般化したグラフ構造を持つセルオートマトンを考案し,構造分子の存在確率を計算するためのモデルとして利用できる可能性があるとの感触を得た.具体的な計算アルゴリズムの開発には至っていないが,そのための足がかりを得ることができた.
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