Research Abstract |
本研究は,放電を用いた環境汚染有害ガス処理技術の革新的なエネルギー効率の向上を目的として,非平衡プラズマによる吸着・脱着法ならびに分解法を結合させた,新しいハイブリッド処理システムを構築し,性能を検討することを目的とする.有害ガスとしてはNOxおよび各種VOC(揮発性有機物)を対象とする.本システムの原理を簡単に説明すれば,有害ガスをいったん吸着させ,プラズマ脱着させながら低流量高濃度で循環プラズマ分解処理することにより,従来より遥かに高い処理効率およびエネルギー効率が得られる可能性があるというものである.試作するシステムは,2つの並列プラズマリアクタから成るが,(1)初めに設定したNOx流量,濃度に対して,NOxをほぼ100%吸収および脱着できる,吸着流路の寸法(長さ,直径,吸着層の高さ)を,従来の実験結果と新たに行う実験で決定する.その後,(2)プラズマを印加する場合にNOをほぼ100%酸化できる,リアクタの仕様(放電領域の高さ,電圧,電力など)を同様に決定する.終了後,システム全体としての連続運転を繰り返し行い,吸着部と放電部の整合性を確認する.なお,吸着層としてはゼオライト系ペレット吸着材MS-13X,疎水性ゼオライトハニカム吸着材ならびに最近,我々が開発した機能性繊維吸着布(高分子材料にアクリル酸モノマーをグラフト重合したもの)を,プラズマ発生用充てん物としてはチタン酸バリウムペレット,疎水性ゼオライトハニカムなどを試験する.なお実験は,現有で最新式の各種ガス分析計(NOx, CO, CO2,N2O, SOx),ガス・イオンクロマトグラフ,FT-IRガス分析装置,パルス電源などを使って行われ,最先端の技術を駆使する.(1)に関する実験をNOxとVOC(トルエン)に関して実施し,1/20程度の小体積化,20倍程度の高濃度化に成功し,熱脱着より数段効率の高い方法を確立し,結果を国内外の学会および英文著書で公表し,関連技術の特許出願をした.
|