Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
赤痢アメーバの Rab GTPase は、他種生物と比較して多様化していることが報告されており、貪食時のダイナミックな膜輸送に伴い独自に進化したことが示唆されている。昨年度までの成果から、赤痢アメーバの Rab8A (EhRab8A) が貪食に関与し、また、他種生物とは異なる小胞体への局在を示すことが明らかになった。本年度は、EhRab8A 結合タンパク質の同定とその機能解析について解析を行った。昨年度の研究成果から、EhRab8A が約30kDaと約40kDaのタンパク質と結合していることが示唆された。それぞれの分子量から切り出したサンプルを質量分析法により解析し、得られた EhRab8A 結合候補タンパク質の中から、5種類の脂質合成や脂質の輸送に関与するタンパク質を候補タンパク質として得た。それら5つについて、逆免疫沈降により EhRab8A との直接の結合を確認した結果、EhCDC50 (36kDa) が EhRab8A と結合していることを見出した。赤痢アメーバには CDC50 ホモログは一つしか存在しない。CDC50 は P4-ATPase の非触媒ユニットとして機能していることが他種生物で既に報告されており、細胞膜上におけるリン脂質のフリップを触媒するには触媒ユニットである P4-ATPase が必須である。in silico 解析により、赤痢アメーバにもほ乳動物と同数の11個の P4-ATPase ホモログが存在することがわかり、CDC50 と P4-ATPase が複合体を形成して機能している可能性が示唆された。また、EhCDC50 の局在を間接免疫蛍光染色法により解析したところ、EhRab8A と大部分が共局在し、一部それぞれ異なるコンパートメントに局在することがわかった。さらに、EhRab8A と同様に大部分が小胞体に共局在することもわかった。この結果から、EhCDC50 が細胞内で EhRab8A と類似の挙動を示しており、お互いが同じ輸送経路で相互作用していることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cell Microbiol
Volume: ? Issue: 10 Pages: 1358-1373
10.1111/cmi.12570