Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Outline of Annual Research Achievements |
採択者を中心とした日米の国際研究チームは米国原産のアメリカアリゲーターをモデルとして温度依存型性決定を解明すべく、共同研究を行った。ワニの全ての温度受容膜チャネル「TRP」のサブタイプを単離し、ワニのTRPチャネルをパッチクランプ法により機能解析した結果、雄の性決定温度領域と近い温度で閾値を示すTRPV4チャネルを見出した。性決定への関与を実証するため、TRPV4チャネル活性を制御する薬剤を発生時期の卵に直接塗布し、性分化への影響を調べた。その結果、雄になる温度で孵卵し、薬剤によりTRPV4チャネルの活性を抑制すると、精巣分化(雄化)に重要な遺伝子の発現が特異的に抑制され、雌化(卵巣化や卵管の発達など)した個体が認められた。さらに雌誘導温度で孵卵してTRPV4チャネルの活性化剤を塗布した場合、精巣分化に関与する遺伝子の発現が生殖腺で誘導された(雄化)。生殖腺の精巣への分化にはTRPV4が温度受容因子としての関与する重要な結果が得られた、研究成果を国際誌であるScientific Reportsに発表した(Yatsu et al., 2015)。研究成果は国内のみならず、海外でも30もの海外ニュースサイト等で報道され注目を集めた。雄および雌に発生する温度で孵卵し、いろいろな発生段階での生殖腺における遺伝子発現をRNAseqで網羅的に調べるため、性決定直前から性分化の期間中のトランスクリプトーム解析を行った。遺伝子発現の雌雄差を発生段階ごとに比較解析した結果、性決定に重要と思われる候補遺伝子を見出した。雌雄で発現の差がある興味深い遺伝子として、KDM6BやJARID2等のヒストン修復、UCP2等のエネルギー代謝、及びC/EBPA等の転写制御に関連する遺伝子を見出した。エピジェネティクスや代謝制御など広範囲の温度影響・細胞活動が性決定時期に重要であることが予測され、国際誌であるBMC Genomicsに発表した(Yatsu et al. , 2016)。
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