プロセス化学に用いる選択的フッ素化剤:フルオロスポンジの開発と利用
Project/Area Number |
13J06908
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Synthetic chemistry
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 悟 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2013
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2013: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | フッ素 / フッ化水素酸 / 超原子価ヨウ素 / 触媒反応 / 不斉反応 |
Research Abstract |
プロセス化学において使用に堪えうるフッ素化試薬あるいは手法の開発を目指し研究を行った。まず, CoF_3等を用いてプロトンスポンジをはじめとした各種塩基に対してフッ素化を行い, 窒素原子によってフッ素原子を担持させたフッ素化剤「フルオロスポンジ」の合成をねらい反応を試みた。しかし, 良い結果が得られなかった。次にフッ素源をCoF_3ではなく, HFを用いて行うこととした。HFは安価であり, 特に水溶液やピリジン溶液は使用が安易で, プロセス化学での適応可能である。フッ素原子の担持には, プロトンスポンジではなく, 超原子価ヨウ素を用いることとした。また, 最終的にはヨウ素試薬を担持に用いるのではなく, 触媒的に使用できるようにすることに重点を置いて研究を行った。プロセス化学においては廃棄物の観点から反応はできるだけ触媒反応を行うことが望ましいとされている。しかし, 従来の超原子価ヨウ素を用いたフッ素化反応では, ヨウ素試薬を化学量論量用いるか, 電気化学的な手法を用いる必要があった。まず, フッ化物イオン源としてフッ化水素酸あるいはフッ化水素のピリジン溶液を用い, 触媒量のヨードアレーンを, 酸化剤を用いて酸化することで反応系中にて超原子価ヨウ素を発生させ, 有機化合物にフッ素原子を導入することを検討した。その結果, 目的のフッ素化反応が起こることを見出した。この手法は, β-ケトエステルのα位に求核的にフッ素化反応が可能であるとともに, オレフィンに対するアミノフッ素化にも有効であることがわかった。さらに光学活性なヨウ素試薬を用いることによって触媒的不斉フッ素化反応を達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フルオロスポンジの合成は不首尾に終わったものの, 超原子価ヨウ素を用いたフッ素化反応を開発することに成功した。この反応では酸化剤を用いて反応系中で反応活性種である超原子価ヨウ素試薬を発生させることでヨウ素試薬を触媒量に抑えることができた。これはプロセス化学に堪えるフッ素化手法の開発という研究の目的に合致したものである。また, 不斉反応への展開にも成功し, おおむね満足できる結果を得ている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究展開としては, 反応の適用範囲の拡大を考えている他, 詳細な反応機構の解明を試みる予定である。また当研究の開始後にいくつかの研究室から超原子価ヨウ素型のフッ素化試薬が報告されており, これらの文献を参考に試薬としての展開を検討したいと考えている。一方で研究を遂行する上で改善する点としては, よりプロセス化学の要求に堪えるよう反応に用いている酸化剤を爆発性のないものに変更する, 用いるフッ素源をより毒性, 腐食性の少ない金属フッ化物へと変更する, といったことが考えられる。さらに不斉反応への展開については, 触媒の検討を行うことによってより高い選択性の発現を目指す。
|
Report
(1 results)
Research Products
(8 results)