枯草菌細胞内低分子RNAによる転写・翻訳制御ネットワーク解析
Project/Area Number |
14014204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 幸治 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (40212097)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
Fiscal Year 2002: ¥5,800,000 (Direct Cost: ¥5,800,000)
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Keywords | 非翻訳型RNA / 枯草菌 / RNAワールド / リボ制御 / 転写制御 / 遺伝子間領域 / 制御分子 |
Research Abstract |
非翻訳型RNAの機能は多岐にわたり、生命活動にとって重要な機能を有している。本研究では、枯草菌の全塩基配列情報をもとに500塩基以上のスペース領域を抽出し、この領域を増幅するPCRプライマーを用いて新規非翻訳型RNAの探索と発現・機能解析を目的とした。 LB培地で4時間培養した枯草菌から抽出した全RNAを、PCRで増幅したスペース領域に対応するプローブを用いてノーザンハイブリダイゼーションを行った。次に、発現が確認された領域については、より詳細な発現時期の解析を行った。一方、100〜500塩基の大きさのスペース領域配列については、RNAの構造形成に必要と予想される配列またはエネルギー安定性を考慮に入れ、コンピューター上で計算し、ゲノム配列から非翻訳型RNAと思われる領域を推定する手法を用いた。さらに、枯草菌の近縁Bacillus属3種のゲノム配列に対して相同性検索にかけ、非翻訳型のRNAが発現している領域を抽出した。これらの領域からの転写の可能性について解析した。 500塩基以上のスペース領域123カ所に対して、ノーザンハイブリダイゼーションで解析した結果、8カ所のスペース領域(No.6、7、40、61、62、72、80、および101)においてRNAのバンドが検出された。このうち、胞子形成培地で生育させた菌体について行った発現解析では、No.61、62を除いた6カ所で、発現が確認できた。さらに詳細に、発現時期を解析した結果、No.6、40は対数増殖期のみ、No.101は対数増殖期〜胞子形成期、No.7、72、80は全ての生育ステージにおいて発現していた。枯草菌を胞子形成培地で培養したところ、対数増殖期、胞子形成期、および定常期のいずれにおいても、No.61、No.62に相当するバンドは検出されなかった。一方、100〜500塩基のスペース領域について、ノーザンハイブリダイゼーションを行った結果、No.126、129、130、131、135、136、138の7カ所で、RNAの発現を確認した。 今回の研究により、枯草菌には非翻訳型RNAが少なくとも10種類存在することが明らかにした。さらに、500塩基以下のスペース領域の解析から、下流の遺伝子の発現を転写レベルで制御し得る低分子RNAの存在を明らかにしたが、その機能解明が期待される。本研究において、機能未知な非翻訳型RNAを明らかにすると同時に、RNAによる転写レベルでの遺伝子発現制御という新たな機構の可能性を発見した。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)