カプサイシン受容体の脳における発現と機能の検討と新たな類似蛋白質の探索
Project/Area Number |
14017043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
富永 真琴 三重大学, 医学部, 教授 (90260041)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
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Keywords | 痛み受容体 / カプサイシン受容体 / 温度受容 / イオンチャネル |
Research Abstract |
カプサイシン受容体VR1(TRPV1)は6回膜貫通型のイオンチャネルで、生体で痛みを惹起する複数の刺激、カプサイシン・酸(プロトン)・熱(43度以上)によって活性化する。VR1は末梢感覚神経に強く発現するが中枢神経系にもその発現が認められる。視床下部は内部環境の物理的(温度・浸透圧)及び化学的(pH・ホルモンレベル)性質に直接反応する調節中枢と考えられていることから、末梢感覚神経で痛み刺激受容に関わる受容体が中枢神経においても重要な生理機能を担っている可能性を示唆する。そこで、これまでに全く知られていない痛み刺激受容体の脳における機能を解明するために、脳におけるVR1発現を検討し、また、VR1機能制御の分子機構を解析した。この制御機構が脳における機能解明につながるものと期待される。さらに、脳に発現する新たなVR1類似蛋白質を探索した。 ラット脳において、視床下部にはVR1の発現を認めなかったが、黒質に強い発現を認め、tyrosine hydroxylaseと共発現していた。こうした発現解析からはVR1の脳における機能を解明することは難しいと考え、現在、遺伝子欠損マウスの行動解析を精力的に進めている。次に、細胞外ATPが代謝型P2Y1受容体を介してPKC依存的にVR1機能を制御することを明らかにしてきたが、代謝型受容体とカプサイシン受容体VR1の機能連関をさらに追求して、発痛物質として知られるブラジキニンもB2受容体を介してPKC依存的にVR1の活性化温度閾値を42度から32度まで低下させることを明らかにした。そして、VR1のPKCによるin vivOのリン酸化を生化学的に証明し、リン酸化候補アミノ酸の点変異体の電気生理学的な解析から、リン酸化に関与する細胞内ドメインの2つのセリン残基を同定した。このリン酸化は炎症性疼痛発生の分子メカニズムの1つであり、2つのセリン残基は鎮痛薬開発の新たなターゲットになることが期待される。VR1はTRPイオンチャネルファミリーに属するが、低浸透圧によって活性化されることが知られていたTRPV4(VROAC)が35度の活性化温度閾値を有する新たな温度受容体であることを明らかにした。興味深いことに、このTRPV4は感覚神経には発現しておらず、体温調節中枢としての機能を有する視床下部視索前野に発現していることが明らかとなった。TRPチャネルの感覚受容に関する脳機能研究の出発点になるものと期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)