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¥5,300,000 (Direct Cost: ¥5,300,000)
Fiscal Year 2002: ¥5,300,000 (Direct Cost: ¥5,300,000)
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Research Abstract |
ラット脳室内に生後直後に,5,7-dihydroxy-tryptamine (5,7-DHT),6-hydroxy-dopamine (6-OHDA)をそれぞれ投与し,セロトニン低下モデルとドーパミン低下モデルを作成した。これらの処置ラットは外見上異常なく発達するものの,生後4週齢で観察したオープンフィールドにおける行動量は,前者は行動低下,後者は多動が認められた。即ち,自閉症的モデルと注意力欠陥多動障害(ADHD)様モデルができる。これらのモデルでは,当該アミンの投射・終末部位では80%以上にもなる大きな低下が見られた。セロトニン低下モデルでは,調べたセロトニン受容体2A,2Cの量・分布は殆ど変化がない。また,DNA arrayを用いた解析では,種々のトランスポーターやシナプス要素関連遺伝子がそれぞれの低下モデルに選択的に変化するデータが得られ,現在,定量的PCR等で解折中である。一方,FDGを投与し,microPETやautoradiography法でグルコース取り込みの変化部位を探ると,複数の脳部位でコントロールに比し取り込み低下が見られた。このようなモデルを用いて,昨年度に行った脳局所破壊を施行し,Fos蛋白の発現やFDGの取り込みで検出された「局所破壊による他の脳部位への情報伝播パターン」が変化するものかどうか検討し,脳中脳の本質とモノアミン系との関連を突き詰めていく所存である。この生後発達時のモノアミン低下モデルに対して,モノアミン系生合成の律速段階の酵素であるチロシン水酸化酵素,及び,トリプトファン水酸化酵素に共通の補酵素であるテトラハイドロバイオプテリンやセクレチンが行動異常を是正するので、それらを用いた治療機転についても研究を進めている。小児自閉症やADHDにはまだ確固たる治療法がないので,本研究を基盤にして,新規治療法の開発を行いたい。
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