新しい抗ウイルス戦略をめざしたヘルペスウイルス遺伝子発現制御因子の解析
Project/Area Number |
14021031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 寧 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60292984)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥5,900,000 (Direct Cost: ¥5,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥5,900,000 (Direct Cost: ¥5,900,000)
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Keywords | HSV / UL13 / EBV / BGLF4 / cdc2 / 二量体 / hERR1 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒトに様々な疾患を引き起こす単純ヘルペスウイルス(HSV)およびEpstein-Barrウイルス(EBV)感染直後に発現する制御因子およびウイルス特異プロテインキナーゼの機能発現機構を、主に宿主細胞機構との相互作用の観点より解析し、新たな抗ウイルス剤開発や抗ウイルス戦略構築に向けての基礎的な知見を蓄積することにある。本年度の成果は以下の通りである。 HSV PKのUL13に代表されるウイルスプロテインキナーゼファミリー(conserved herpesvirus protein kianse : CHPK)による標的因子EF-1δのリン酸化部位を同定した。その結果、CHPK (HSV UL13 & EBV BGLF4)と宿主プロテインキナーゼcdc2によるEF-1δのリン酸化部位は同一であり133番目のセリン残基(Ser-133)であった。また、casein kinase IIβの209番目のセリン残基(Ser-209)はcdc2によってリン酸化されることが報告されているが、UL13はSer-209をin vitroにおいてリン酸化した。以上の結果は、CHPKとcdc2が標的因子の同一アミノ酸残基をリン酸化しうることを示しており、ヘルペスウイルスがコードするCHPKの存在意義が宿主プロテインキナーゼcdc2の模倣であることを示唆している。 EBVの制御因子EBNA-LPはEBVがB細胞に感染した際に最初に発現する制御因子であり、EBVによるB細胞の不死化に大きな役割を果たしているco-activatorであることが知られている。本年度は、EBNA-LPの機能発現機構をさらに詳細に解析した結果、EBNA-LPが二量体を形成することが明らかになった。また、EBNA-LPの二量体形成には、EBNA-LPのW2ドメインに存在する保存領域CR2が必須であった。CR2領域は、EBNA-LPの核および核マトリックス局在、さらには、EBNA-LPのco-activator機能にも必須な部位である。以上より、EBNA-LPのCR2領域は、EBNA-LPの局在、co-activator機能、蛋白質複合体形成を制御する多機能部位であり、EBNA-LPの機能発現に中心的な役割を果たしているドメインであることが示唆された。 EBNA-LPと相互作用する宿主因子のさらなる同定を目的として、酵母を用いたtwo-hybrid screeningを行った。その結果、宿主転写因子であるhERR1(human estrogen-related receptor 1)を同定した。hERR1が結合する部位をマッピングしたところ、EBNA-LPのY2ドメインに存在する2つの保存されたロイシン(Leu-78 and -82)であることが明らかになった。Y2ドメインは、EBVによる細胞の不死化に大きな役割を果たしているドメインであり、EBNA-LPとhERR1との相互作用がEBVによる細胞の不死化に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)