Research Abstract |
14年度は開発を目指しているシステムを具現化することを優先し,実験テーマを絞り,立ち上げた.テーマは「液晶ディスプレイの光学原理」である.液晶ディスプレイは,ゲーム機器,携帯電話,テレビなどに利用される身近な先端製品である.一方で,その動作原理は「光学の基礎原理」に立脚している.また,実験機器も大掛かりなものとはならず,幅広い年齢層で安全かつ容易に実験を進めることができる.演習者は,バーチャルラボの「携帯電話」ステージから,スタートする.そして,バーチャルラボで「ある現象(法則)に気づく(ゲーム性)」と,「物づくりラボ」の箱が開き,実験教材に触れることができる(実空間での玉手箱を手にする). 1)バーチャルラボ 演習者は各人の興味に従いながら,「携帯電話」をPC上でバーチャルに分解する.そこで,(1)液晶画面に何故絵が出るのか,(2)液晶画面に何故色がつくのか,(3)液晶画面につながっている電線は何か,このような疑問がわけば,これを納得するまで,バーチャルに探検する.そこで,あること(物理現象の本質:例えば「光は波のように振舞う」)に気がついた演習者には,物づくりラボの実験がプレゼントされる. 2)物づくりラボ バーチャルラボに対応する教材((1)偏光・複屈折教材,(2)三原色カラー教材,(3)光ファイバ通信教材)を用意した.各実験とも,大掛かりな装置を使わず,題材「液晶ディスプレイ」に含まれている部品を実験教材にし,先端製品とのつながりを大切にしている。以下に,「光ファイバ通信教材」を例にとり簡単に説明する.これは,光ファイバを使った「糸電話」の実験である.音声信号を変調してLEDの点滅信号に変換し,光ファイバを通して受光側に転送する.受光回路では光電気信号を復調してスピーカから音声を出力する.信号変調は.PWM法を用いている.部品点数を少なくしてあるので,演習者が興味を持てば,自ら作成に挑戦する.ここでは,電子工学やIT用通信技術への展開を考慮している.また「バーチャルラボ」で想定していなかった現象を「物づくりラボ」で見出した演習者は,興味があればPC上で「バーチャル先生」に会い,関連するステージか説明を体験する. また,聖徳学園小学校等でシステムを試用し,改良を重ねた.本システムの試用により,児童の液晶への関心は想像以上に高まった.特に身近な携帯電話を題材にすると多くの興味を引きつけることができた.
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