Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究ではこれまでほとんど機械工学的観点から取り上げられていなかった「八丁撚糸機」に重点的に取り組んだ.八丁撚糸機の所蔵先である,桐生市織物参考館「紫」,京都府織物・機械金属センター,丹後縮緬歴史館,丹後地域地場産業振興センター,安栄機業場,東京農工大繊維博物館に行き,寸法測定,写真撮影,運転できるものは運転状態のビデオ撮影を行った. これらを参考に八丁撚糸機の実験機を製作し,運転中の状況を測定し,この実験を参考に八丁撚糸機の運転中の糸張力に関する理論を構築し,八丁撚糸機の加撚方式が,産業革命後の機械であるイタリー式撚糸機に対抗して,いまでも使われる理由を明らかにした. 1)管から巻きほどされる糸の張力Tiと加撚後に巻き取られる糸の張力T_0の関係を解析し,T_iの変動が大きくてもT_0の変動が小さく押さえられる構造になっていることを指摘し,実際の場合約10分の1程度に押さえられることを示した.このことが管から糸を直接軸方向に引き出し加撚する形態を可能にしている.この外乱の影響を防ぐ機構は撚糸機以外の各種機械の制御に応用可能と考えられる. 2)賤輪による力制御の採用により,糸速度や抵抗力の急激な変化に対し,張力の変動が小さく押さえられる構造になっている. 3)紡錘先端から糸が滑り落ちる構造になっているため紡錘一回転毎に張力の小刻みな変動があり,これが巻き取り中の糸の各部に撚りを急速に行き渡らせる役目をしている. 4)天明3年(1783)に岩瀬吉兵衛が,従来1人で一つの紡錘を駆動していた撚糸機を改良して,20錘を一つのロープで駆動する水車動力の八丁撚糸機を開発し,生産性を高めた. 八丁撚糸機のほか,紡ぎ車式手紡ぎ,ガラ紡機についても測定と解析を行った.
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