Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
|
Research Abstract |
EWSは,Ewing肉腫でみられる染色体相互転座t(11;22)において転座する遺伝子として見出されました(Nature 359,162-165,1992).その後も多数の固形腫瘍や神経芽種で,EWSがFli1,ATFやWT1などの転写因子と融合遺伝子を形成していることが報告されています.EWSはほぼ全身性に発現しており,656アミノ酸から構成されています.そのC-末端半分側にはRGGボックス,RNA認識モチーフやZincフィンガーモチーフを有していますが,EWS本来の機能的役割は不明です.そこで本研究は,非融合型潜在性がん遺伝子EWSの生理機能を解明することを目的とした. 申請者は,転写制御の分子間ネットワークの中核的存在であるCBP/P300の相互作用因子の同定を行い,β-カテニン,核内受容体やフォークヘッド型転写因子などとの複合体形成の細胞生理作用を研究している過程で,EWSとの結合活性を見出しました.EWSが転写制御にかかわる可能性が初めて示され,転写調節の側面から非融合型機能を解析するのが特色です. 申請者は,EWSの共役因子としての作用を予測し,転写共役複合体のターゲットが標的転写因子であるという仮説を提唱しました.この仮説の検証から,核内受容体が標的となり,その中でも肝臓に特異的に発現する遺伝子の転写を制御する核内受容体・HNF-4が選択的に転写が活性化されことが分かりました.転写調節の側面から非融合型EWSの転写選択性が明らかになれば,EWSの特定細胞における選択的がん化機構が理解されると期待できます.生物学的観点,医学的側面からも,治療の応用への大きなヒントとなる意義を持つと考えます.
|