Budget Amount *help |
¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
|
Research Abstract |
脂質滴は全ての細胞に存在する構造である.内部はコレステロールエステルとトリグリセリドが様々な比率で存在し,表層はフリーコレステロールを含む燐脂質一重層で形成されている(Tauchi-Sato et al., J.Biol.Chem.,277:44507-44512,2002).脂質滴は細胞内コレステロール濃度調節に関わり,形質膜のコレステロール濃度を通じてシグナル伝達に影響を与えると考えられている.しかし脂質滴に蓄えられる脂質量の調節機構は明らかでない.さらに脂質滴表層は特異な脂質組成を持つ膜領域とであり,シグナル伝達に関連する種々の機能分子が集中している可能性があるが,脂質滴を構成する分子についての知見は乏しい.我々は上記2つの観点から脂質滴の機能を解明するため,(1)脂質滴特異的な蛋白質であるADRPについて検索し,また(2)脂質滴蛋白質の網羅的解析を行った. ADRPの欠失ミュータントの解析により,ADRPの脂質滴へのターゲッティングはN末の181アミノ酸またはC末の150アミノ酸のいずれかで足りることが明らかになった.両者に重複する領域はなく,また両者とも全長のADRPと同様に新たな脂質滴形成を誘導した.さらにADRPの超微局在を凍結レプリカ標識法で検索すると,単一のエピトープが脂質滴表層の凸面,凹面,さらに中央を横断する割断面のいずれにも認められた.これらの結果はADRPが多くの膜分子と異なる性質を持ち,脂質滴の調節に関わることを示唆する.一方,精製脂質滴画分の質量分析法による解析を行ったところ,ADRPや中性脂質代謝に関わる複数の酵素などの他,多数の機能既知・未知の蛋白質が存在することが判明した.この結果は脂質滴の新たな機能を示唆するものであり,生化学的方法と遺伝子導入・ノックダウンによる機能解析を進めている.
|