Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
造血幹細胞の自己複製およびアポトーシス回避の分子機構の解明を目的として、細胞増殖の制御に重要な転写因子であるE2Fの機能解析を中心に以下の研究を行った。1)造血幹細胞におけるE2Fサブユニットの発現と機能健常人骨髄より造血幹細胞を分離し、E2Fサブユニットの発現を解析した。E2Fの6つのサブユニットのうち造血幹細胞にはE2F-1、E2F-2、E2F-4、E2F-6の発現が認められ、分化に伴ってE2F-1、E2F-2、E2F-4の発現は上昇するが、E2F-6は逆に発現が低下した。特に発現量の多いE2F-1とE2F-6について強発現細胞株を樹立し、機能解析を行ったところ、(1)E2F-1は増殖と同時にアポトーシスを誘導する作用があり、造血幹細胞の過剰な増殖を抑制するように働いていること、(2)E2F-6はE2F-1によるアポトーシスをdominant-negativeに抑制していることがわかった。2)E2F-1によるApaf-1遺伝子発現のEpigenetic ControlApaf-1はミトコンドリア傷害によるアポトーシスに際し、caspase cascade活性化のtriggerに働く因子である。Apaf-1の発現低下は抗癌剤耐性や発癌にも関与しており、その発現機構の解明は臨床的にも重要な役割を有する。E2F-1によるアポトーシスのメカニズムを解析する過程で、E2F-1がCaspase-9を活性化すること、その際にApaf-1の発現誘導が重要な役割を果たしていることを見い出した。またApaf-1の発現は急性白血病の25-40%で欠損しており、その原因としてApaf-1 promoterの+87〜+128のCpGにメチル化が起こっていることを明らかにした。
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