Budget Amount *help |
¥32,700,000 (Direct Cost: ¥32,700,000)
Fiscal Year 2004: ¥10,900,000 (Direct Cost: ¥10,900,000)
Fiscal Year 2003: ¥10,900,000 (Direct Cost: ¥10,900,000)
Fiscal Year 2002: ¥10,900,000 (Direct Cost: ¥10,900,000)
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Research Abstract |
前年度に引き続き,本研究は計画に従って着実に進展した.ハンマーヘッドリボザイムについては,U1A-RNAを付加したリボザイムでも活性があることを,さらにこれにU1A-RNA結合タンパク質との複合邸でも活性があることを電気泳動実験によって確認した.また,2価イオンを加えても活性構造を維持することもわかったので,その条件を用いて結晶化を行った(RNA-2004で発表).核酸の修飾残基のうちtRNAに存在するシュードウリジン(Ψ)とチミジン(T)に着目して,これらを含む核酸のX線解析から,それぞれの構造的役割を明らかにした(CrSJ-2004で発表).アミノアシルtRNA合成酵素については,好熱好酸性古細菌Sulfolobus tokodaii由来AspRSの構造精密化を行った.この酵素はアミノ酸のAspを厳密に認識するが,tRNA^<Asp>とtRNA^<Asn>を区別しない.その構造的理由が明らかになった.区別型においてアンチコドンの3文字目(CとU)を認識しているアミノ酸残基が,非区別型ではプロリンに置換され,CとUの両方を受け入れることができるように変化していることが解った(CrSJ-2004とRNA-2004で発表).レトロウィルスHIVのゲノムRNA鎖キッシング部位の結晶化と低分解能構造解析にも成功した(RNA-2004で発表).筋ジストロフィー症の原因となるCUGの反復配列についても,その立体構造が見えてきたのでNACS-2004で発表した.ゲノムに含まれる50%以上の反復配列の機能と構造の関係に着目して,ウナギのtransposonやretroposonに関わるLINE-RNAとSINE-RNAそれぞれの逆転写酵素認識部位配列はMgイオン存在かでは,duplexになるが,Caイオン存在下ではmonomerの状態を維持できることが解った.この結果は結晶化を進める上で貴重な知見となった.反復配列のGCGX[Y]_nAGCは,XとYを他の塩基に変異しても,塩基積層型二重らせん構造を造り,それがさらに3コあるいは4コ会合して,それぞれ,六重らせん構造と八重らせん構造を造ることを見出した(Nucleic Acids Res.,2004で発表).また,nの値を大きくすると溶液状態でも八重鎖構造が安定化することもつきとめることができた.配列CGAAは平行二重鎖構造を造ることはすでに明らかにしたが,この並列を直列型に連結したCGAACGAAでも平行二重鎖構造を造ることを,さらにこの配列を反転型に連結したCGAAAAGCとAAGCCGAAでも,それぞれ,自己会合して平行二重鎖構造を造ることを見出した.WatsonとCrickが予想もしなかったこれらの新しい特異な構造は,non-coding DNAやnon-coding RNAの立体構造を構築するする貴重な基盤構造となり,ゲノムの情報発現を理解する上で極めて重要な発見である.
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