Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
抗Wa抗体は強皮症に特異的に検出されるまれな自己抗体として報告し,その対応抗原は3-4種類のtRNAと結合する48kDaの蛋白であることを明らかにしていた.Wa抗原の実体は長く不明であったが,Wa抗原の遺伝子をクローニングしたところ,NEFAまたはNucleobindin-2(Nucb-2)として報告された分子と一致することが判明した.NEFA/Nucb-2はLeucine Zipper構造を有することからDNA結合蛋白と考えられるが,これまでのところDNAあるいはtRNAを結合したという報告はない.しかし,Wa抗原が一定の種類のtRNAと関連しNEFA/Nucb-2として同定されたことは,同分子が新たなtRNA結合蛋白であり,tRNAが関与する蛋白翻訳系あるいはtRNAの代謝などで未知の機能を持つRNPマシーンである可能性が高い.本研究では我々が見出した抗Wa抗体の対応抗原(Wa抗原,NEFA/Nucb-2)の機能を追求し,抗Wa抗体の自己免疫疾患における意義を検討した. 1.Wa抗原に結合するtRNAの同定:患者Wa血清(抗Wa抗体のプロトタイプ血清)が免疫沈降したtRNAを抽出し,これを鋳型として既知のヒトtRNA配列から作成したプライマーを用いてRT-PCRを行ったところ,グルタミン酸,ヒスチジン,リジン,バリンの4種類のアミノ酸に対応するtRNAが同定された. 2.Wa抗原の細胞内局在と細胞周期との関連:抗Wa抗体陽性血清を用いた間接蛍光抗体法で,Wa抗原は細胞周期とは無関係に核および細胞質の両方に分布することを確認し,DNAおよびtRNAの両方と結合するという当初の予想を裏付けた. 3.自己免疫疾患における抗Wa抗体の陽性率:リコンビナントWa抗原を用いた免疫ブロット法により,抗Wa抗体が強皮症の33%と従来の報告(3.1%)より高頻度に検出されることを確認した.
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