花序のメリステム形成をエピジェネティックに抑制するTFL2遺伝子の解析
Project/Area Number |
14036232
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Biological Sciences
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Research Institution | Research Institute for Biological Science Okayama |
Principal Investigator |
後藤 弘爾 岡山県生物科学総合研究所, 研究員(室長) (00251489)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
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Keywords | アラビドプシス / 形態形成 / エピジェネティクス / 花成 / 転写制御 / ヘテロクロマチン |
Research Abstract |
研究の目的 TFL2はヘテロクロマチンタンパク質(HP1)のホモログをコードするアラビドプシスでは唯一の遺伝子である。tfl2突然変異体が多面的な表現型を示すことと合わせて、TFL2はクロマチン構造を通して転写抑制に関わる、エピジェネティックな因子として機能していると考えられる。本研究ではTFL2の標的遺伝子群と、それらの発現抑制のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 今年度の成果 tfl2突然変異体において、FT、PI、AP3、AG、SEP3の発現が独立に上昇していることから、これらが標的遺伝子の候補と考えられる。FTの異所的発現は、tfl2突然変異体が日長によらず早咲きになることとよく一致している。花のホメオティック遺伝子の異所的発現は、curly leafなどにもみられるような葉の形態異常との関連が考えられる。 これら特定のユークロマチン遺伝子の発現抑制がはっきりとみられる一方で、ヘテロクロマチン領域の遺伝子発現抑制については、マイクロアレイを用いて調べたが、野生型とtfl2突然変異との間で遺伝子発現量に大きな差はみられなかった。これは他の生物種で知られている、HP1は主にヘテロクロマチン領域の遺伝子抑制に関与している、という知見とは異なっている。 将来の展望 TFL2はアラビドプシスでは唯一のHP1ホモログであるが、その機能はこれまで知られている分裂酵母や動物のものとは異なっているようである。近年エピジェネティックな遺伝子制御の重要性が指摘されているが、植物のクロマチン構造には未知の部分が多い。tfl2突然変異体は致死ではないという利点を生かし、遺伝学的解析も含め、TFL2のクロマチン構造への関与を明らかにしていきたい。 また、FT遺伝子はTFL2によって抑制されているが、花成のシグナルによりTFL2の存在下においてもその発現が上昇する。またCOはFTを直接転写制御していることが知られている。FTの転写調節を解析することで、TFL2による抑制とCOによる活性化が、どのように時間的・空間的に調節されているかの分子メカニズムが明らかに出来ると考えている。これは花成のプロセスが転写抑制と活性化とによって厳密に制御されているという好例であり、生物学的にも興味深い。
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Report
(1 results)
Research Products
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