Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
本研究では、強誘電体、高誘電率材料、導電性酸化物などの機能性材料を用いた新しい集積機能デバイスを実現することを目的としている。前年度までに、不揮発性メモリやロジック回路にも応用できる強誘電体ゲートトランジスタに適した新しい強誘電体材料として、従来までのタンタル酸ストロンチウムビスマス(SBT)中のストロンチウムをサマリウムで一部置換したSSBT薄膜を開発した。今年度はSSBT膜を用いて実際に金属/強誘電体/金属/絶縁体/半導体(MFMIS)構造の強誘電体ゲートトランジスタを試作し、電気的特性を評価したところ、SSBTを用いた素子では、従来からのSBTを用いた素子よりも大きなメモリウインドウが得られることを明らかにし、SSBTが強誘電体ゲートトランジスタ有望な材料という知見を得た。次に強誘電体薄膜の物性を制御する新しい手法として、ゾルゲル法による薄膜作製プロセス中、仮焼成後、結晶化アニール前にプラズマ処理を導入して、チタン酸ランタンビスマス(BLT)薄膜を形成し、その特性を評価した。その結果、プラズマ処理によってほぼ完全にc軸配向を抑制することに成功し、750℃で結晶化したランタン組成0.75のBLT薄膜において、残留分極(2Pr)が40μC/cm^2程度の大きな値を達成した。さらにプラズマ処理のメカニズムについて検討し、透過型電子顕微鏡観察と組成分析より、結晶化前の薄膜のごく表面に、プラズマ処理によりビスマスが少なく、ランタンた多い組成の層が形成されており、この表面層が薄膜の結晶配向性を支配することを明らかにした。
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