甲状腺ホルモンによる中枢神経系発達に及ぼす内分泌撹乱物質の作用
Project/Area Number |
14042206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
鯉淵 典之 群馬大学, 医学部, 教授 (80234681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神宮 久香 群馬大学, 医学部, 助手 (30292585)
岡田 淳一 群馬大学, 医学部, 助教授 (80152304)
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Project Period (FY) |
2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 甲状腺ホルモン / Polychlorinated Biphenyl / 遺伝子発現 / 膜電位 / 化学感受性 |
Research Abstract |
甲状腺ホルモンは中枢神経系発達のために重要である。本研究は、内分泌撹乱物質の脳発達に及ぼす作用と甲状腺ホルモンとの関係を明らかにする事を目的として実施された。 本研究は単年度申請であったが、非常に大きな成果を上げる事ができた。まず、transient transfection法を用いて核内受容体を介する遺伝子発現におよぼす内分泌撹乱物質の作用を解析した。特に、ダイオキシン受容体との親和性が低いが、中枢神経系に対してはダイオキシンよりも強い毒性を有する水酸化PCBについて数種のcongenerを用いて実験を行った。そして10^<-10>Mという非常に低用量の水酸化PCBが甲状腺ホルモン受容体を介する転写反応を抑制する事を確認した。この作用には細胞特異性が見られ、線維芽細胞よりも小脳顆粒細胞由来の株細胞で抑制が強かった。水酸化PCBの転写に及ぼす影響はグルココルチコイド受容体では確認できなかった。 また、培養脳幹神経細胞を用いて、化学感受性(pH低下)に対するPCB(Aroclor 1254)の影響を調べた。その結果、PCBは静止膜電位を上昇させるが、pH低下により生ずる脱分極の程度は低下する事がわかった。この作用はPCB投与後数分で生じる事から、転写を介さない作用である可能性が高いと思われた。また、作用は10^<-7>M程度の濃度から観察され、転写レベルでの影響に比べ比較的高濃度で生じている事がわかった。 本研究により、PCBが甲状腺ホルモン受容体に非常に低濃度から影響を及ぼし、特に神経細胞に大きな影響が出る可能性が明らかになった。PCBの許容摂取量は5μg/kg体重/日と定められているが、本研究では約30ng/Lという濃度で影響が認められており、現在の許容摂取量が適切なのか再検討の必要性を示唆する結果となった。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)