Research Project
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
1.微小力測定装置の開発,性能評価捩れ秤のノイズ振動を測定し、その結果を元に、捩れ秤の動きを制御するためのフィードバック機構を開発した。このフィードバック機構は、捩れ秤の動きを光てこで読み取り、それを打ち消すような電気力をアナログ回路を用いて生じさせ、捩れ秤に力を加えて制御するものである。このフィードバック機構の作成及び性能評価を行い、安定に動作することを確認した。これにより、測定中に試料の間隔を常に十分な精度で一定に保つことが可能となった。特に微小力測定装置の改良においては、装置の感度を決めるノイズ源が1mHz〜1Hzの地面振動水平成分であることを示し、その地面振動からねじれ振動への伝達関数を小さくすることにより高感度化を行った。さらに、この帯域での地面振動が地震研究所より1桁小さい環境(神岡鉱山など)に装置を移行すれば、カシミール力の有限温度による補正項の測定が可能であることを示した。これらの経過は日本物理学会平成15年秋の分科会にて学生1名が発表した。2.試料間に働く力の測定次に微小力測定装置を用い、地震研究所地下実験室において、試料間隔が2から10μmの領域で、試料間に働く力の距離依存性を測定した。この測定データから、試料間に働く力の中で最も大きな寄与は、電気力の距離依存性を持つことを確かめた。この電気力は試料間の配線を異なる種類の金属で行っていることによって生じる接触電位差で説明が可能である。試料間に働く力の測定データから接触電位差による電気力を解析的に差し引き、そのあとに残る力をカシミール力の理論値と比較した。この結果、測定データはプレリミナリーではあるがカシミール力の理論値とは矛盾のないことを確かめた。これらの経過については学生1名が日本物理学会の平成15年第58回年次大会で発表を行った。